【決断】阪神・坂“近鉄戦士”の誇り胸に 恩返しは続く

[ 2016年12月19日 11:27 ]

決断2016ユニホームを脱いだ男たち=阪神・坂克彦内野手(31)

今季限りで引退した坂
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 覚悟はしていた。昨季までは内野のユーティリティー選手として重宝されていたが、今季は1軍出場なし。戦力外通告を受けた翌日、坂は「本当に悔しい一年だった。“一度、1軍に呼んで使ってくれ”とは思ったけど仕方ない。プロ野球選手は必ずどこかでユニホームを脱ぐのだから。自分はこのタイミングだったということかな」と振り返ったが、こう続けた。「まだ体は動く。“阪神のユニホームを最後に”、という気持ちより、まだユニホームを着たいよ」。ポツリと漏らした言葉が正直な気持ちだった。

 11月12日、甲子園で行われたトライアウトを受験。「坂」の名前がコールされると、慣れ親しんだ本拠のスタンドから大歓声が起きた。「初めて試合中に泣きそうになった。球を見るのに必死だったよ」。声援を力に1打席目に二塁内野安打、4打席目に右前打とマルチ安打を記録。意地のアピールでNPB球団からのオファーを待ったが、電話は鳴らなかった。

 「最初はNPBへのこだわりもあったけど。トライアウトも終わって、だんだん自分の気持ちに一区切りは付けられた。甲子園のファンの人たちの前でプレーできたことが何よりの幸せだった」

 常総学院から03年のドラフト4巡目で近鉄に入団。翌04年オフ、球界再編に伴うオリックスとの球団合併で楽天へ移り、06年にトレードで阪神に移籍した。3球団を渡り歩いてきた上で、大事にしてきた信条がある。「近鉄のユニホームを着た選手だっていうことが、自分にとって野球を続けられる大きな原動力。毎年一人、また一人と減っていって、もう今では数えられるぐらいでしょ。自分のプロ野球人生をスタートさせてくれた球団だし、“近鉄戦士”という肩書が大好き」。

 野球を続けることが、これまでお世話になった人への一番の恩返しだと自覚している。熟慮の末、今後は東大阪を拠点に活動している独立リーグ「06BULLS」に選手兼コーチで入団予定。「指導にも興味はあった。自分の経験を生かして、一人一人に合った指導で技術を教えていければ」。そう意気込みを語る表情に、迷いはなかった。 (久林 幸平)

 ◆坂 克彦(さか・かつひこ)1985年(昭60)9月6日、茨城県生まれの31歳。常総学院から03年ドラフト4巡目で近鉄に入団。04年オフの選手分配ドラフトで楽天に移籍した。06年6月にトレードで阪神に移籍し、同年10月14日の広島戦(広島)で1軍デビュー。07年7月1日の横浜戦(横浜)で寺原から右越えにソロを放ち、プロ初安打、初打点、初本塁打。1メートル80、84キロ。右投げ左打ち。

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