父はばんえい騎手 ソフトBドラ2古谷にお願い 活躍して観光大使

[ 2016年12月12日 05:30 ]

ソフトバンク入団祝賀会で笑顔であいさつする古谷
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 ソフトバンクにドラフト2位で入団した江陵の古谷優人投手(17)の入団祝賀会が11日、帯広市内のホテルで行われた。将来性豊かな154キロ左腕に、世界で唯一の「ひき馬」競馬であるばんえい競馬が注目。父・輝紀さん(44)が200勝以上挙げたばんえい騎手だった縁もあり、未来のとかち観光大使としてラブコールを送られた。ばんえい競馬の広報マンとなるべく、古谷は改めてプロでの躍進を誓った。

 プロへの門出を祝う日に、古谷に新たなモチベーションが生まれた。北海道開拓時代に誕生した馬文化。その世界でただ一つというばんえい競馬の知名度を上げる広報マンとして白羽の矢を立てられたのだ。それは、もちろん大きな地域貢献活動にもつながる。

 「活躍しないと、その価値がない」。伝え聞いた古谷は、そう言って表情を引き締めた。

 帯広市農政部ばんえい振興室の佐藤徹也室長(55)は「活躍してもらって、将来はとかち観光大使になってばんえい競馬場に来ていただきたい。期待しています」とラブコールを送る。観光大使という夢プラン。ばんえい競馬で重賞レースのプレゼンターなど、その夢は大きく広がる。

 まさに適任者だ。父・輝紀さんは10年間ばんえい競馬の騎手を務め、通算200勝以上を挙げた実績を持つ。古谷も子供の頃に道内各地の開催地について回っていた。「かっこよくて、小さい頃は騎手になりたいと思っていました。今でも馬を見ると懐かしい気持ちになります」。野球を始めてからは勝負師だった輝紀さんの「逃げるな」という教えをマウンドで実戦してきた。入団したソフトバンクは、ばんえい競馬が存続危機に陥った07年に子会社を通して支援した縁もある。

 スピードが求められるサラブレッドのレースとは違い、パワーも必要となるばんえい競馬。今夏の最速154キロでスピードがクローズアップされた古谷は、体力にも自信を持つ。来年1月8日の入寮に向け、今も氷点下の屋外で毎日キャッチボールとランニングに励んでいる。「ランは負けないし、体力があれば何とかなる」。雪国で鍛えた強い精神力。その道産子魂を胸に九州に乗り込む覚悟を、激励会の席で改めて固めていた。(石川 加奈子)

 ◆ばんえい競馬 最高1トンの重量物を載せた鉄ソリを馬に引かせ、全長200メートルの直線コースを競うレース。途中2カ所障害(坂)が設置され、スピードだけではなく、重いものを引っ張るパワーと持久力、騎手のテクニックが求められる。「ばん馬」と呼ばれる馬は元々農耕馬で馬体重は約1トンでサラブレッドの約2倍ある。北海道開拓時代に農民が農耕馬でお祭り競馬として楽しんでいたことが起源。世界でたったひとつの「ひき馬」競馬として、帯広市の帯広競馬場で通年開催されている。

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2016年12月12日のニュース