選手会 “救済”ドラフト要望へ MLB流若手“飼い殺し”防止制度

[ 2016年12月9日 05:30 ]

定期大会の内容を説明する(右から)嶋、長野、炭谷
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 労組日本プロ野球選手会(嶋基宏会長=楽天)は8日、大阪市内のホテルで定期大会を開き、試合出場機会の少ない選手の移籍を活性化する制度の導入を、日本野球機構(NPB)に要望することを決めた。いわゆる「飼い殺し」を防ぐために大リーグで導入されている「ルール5ドラフト」をモデルにした制度。20日に都内で行われる事務折衝でNPBに要望を出す。

 国内に限れば、FA権行使、もしくはトレードしか手段がない移籍制度。選手会は「第3の移籍の道」を提案することを決めた。嶋会長は「“ルール5ドラフト”という、(1軍の)出場機会の少ない選手が移籍して、チャンスをつかめる制度の導入を提案していこうと決めました。特に若手選手には非常に切実な問題なので、早急に取り組んでいく」と語った。

 大リーグの「ルール5ドラフト」は、有望な若手選手がマイナーで「飼い殺し」になっているのを防ぎ、他球団で出場機会を広げることを目的とする。韓国プロ野球でも11年から導入されている。選手会は以前から移籍の活性化として同制度のほか、レンタル移籍の導入を要望。12球団代表者会議で議論されたこともあるが、チームの機密保持の観点などについて意見の一致を見ずに導入は見送られた経緯がある。

 選手会は1年をかけて2軍選手にヒアリングも行い、選手の声を集めてきた。嶋会長も「声を大にして言う選手はいないが、“他のチームならチャンスがある”という声は聞いている」と話した。移籍の活性化とともに、戦力均衡を図る狙いもある。

 ただ、導入には検討課題が山積している。巨人のV9期間中である1970年から戦力均衡を図る目的で「ルール5ドラフト」に似た「選抜会議」が行われたが、リストアップされた選手が少なく、72年を最後に自然消滅した。森忠仁事務局長は「最大のポイントは(同ドラフトの対象外となる)プロテクト選手をどう決めるか。プロテクトの数が多くて、他球団が獲得する選手がいないという状況ならば、導入の意味がない」と説明。1軍登録が一定日数に満たない選手を自動的に対象選手とするなど、議論を尽くす必要がある。

 さらに同ドラフトの開催時期も、各球団の戦力構想に直結するだけに重要となる。具体的な仕組みは今後詰めていくが、森事務局長は「選手は一年一年、勝負している。できるだけ早く導入してもらえるようにしたい」と話した。 (倉橋 憲史)

 ▼ソフトバンク・長谷川選手会長 ホークスは亀沢(中日)や山中(ヤクルト)、立岡(巨人)が他球団で活躍するなど、2、3軍にいい選手がいるので基本的にはいい制度だと思う。プロテクトであったり、譲渡金の問題はある。時間をかけて話し合っていかないと。

 ▼広島・小窪 最近は外国人補強が多くて10人くらいいるチームがいる。その意味でも出番を得られない選手の救済というか、野球界の活性化にもつながる。

 ▽ルール5ドラフト MLBでマイナーに埋もれた人材を再発掘する制度で、名称は「MLB規約第5条」で規定されることから。毎年、12月のウインターミーティング最終日に開催される。メジャー40人枠から外れ、入団時に19歳以上だった選手は4年、18歳以下では5年経過した選手が対象。3A選手獲得の場合は、所属球団に補償金5万ドル(約570万円)を支払い、1シーズンの間ベンチ入り25人枠に入れる義務がある。外す場合は罰金を払い旧球団へ返還する。韓国でも11年に新球団設立に伴い導入された。以後2年に1度開催。球団は外国人やFA選手などを除く40人のプロテクト名簿を提出し、漏れた選手の指名が可能。指名巡ごとに譲渡金が設定され1軍登録義務はない。

 ≪成功例にサンタナ≫大リーグで「ルール5ドラフト」の成功例に挙げられるのが、ツインズなどで活躍した左腕ヨハン・サンタナだ。95年にアストロズ入団も、なかなか昇格の声がかからず。99年12月の同ドラフトを経てツインズに移籍すると、04年と06年の2度のサイ・ヤング賞を獲得するリーグ屈指の左腕となった。他にも、本塁打王2度のバティスタ(ブルージェイズからFA)、10年MVPのハミルトン(レンジャーズからFA)、過去にはロベルト・クレメンテも同ドラフト指名を経験している。

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