杉内 復活への足掛かりはかみ過ぎない歯の新スパイク

[ 2016年12月8日 09:10 ]

石こうで足型をとった杉内
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 これが復活への足掛かりだ。巨人・杉内俊哉投手(36)が7日、契約を結ぶアシックスの東京本社を訪れ、来季使用するスパイクの打ち合わせを行った。両足の詳細な測定を行い、石こうで足型も採取。昨年10月の右股関節形成手術からの復活を目指し、足裏の歯を短く、細く改良することを決めた。

 到着するなり、トレーニングウエアに着替えた。すぐに測定が始まった。過去にも経験はあるが、今回はいつも以上に熱が入る。手術を受けた右股関節に負担をかけないためには、どうするべきか。約2時間の滞在で答えを導き出した。

 「今年は大半がリハビリだったけど、来年は野球ができる。でも、できる限り股関節に負担をかけたくない。スパイクは大事な役割を果たしてくれるはず」

 マウンドの土を歯でかみ、目いっぱい腕を振るための支点とするのが多くの投手がスパイクに求めるところ。杉内も「今まではそうだった」という。しかし、土を強くかもうとするほど、股関節への負荷も増える。発想を根本から変えた。

 「来年使うものは歯を短く、できるだけ先端を細くしてもらう」。標準タイプの1センチの歯を半分の5ミリにカット。また、先端にいくにつれて両端を削り、三角形に近い形に変える。「これで歯が土の中でも動きやすくなる」と担当者。もちろん“遊び”が出てくる分、滑り過ぎないように最善の形状を探っていく。

 「最近の日本の球場のマウンドは土が硬くなってきた。特にマツダスタジアムや札幌ドームは硬く感じた」と杉内。硬く整備されたマウンドは、ただでさえ股関節に悪影響を及ぼす。今秋参加した宮崎キャンプでも地盤が緩い、特注ブルペンを使った。来春キャンプ前に届く予定の新スパイクは、心強い味方となる。

 改良にあたり、石こうで足型を作製。約5分で完成し「こんなに早いんだ?」と驚きの声をあげた。中敷きや素材に関する話し合いも完了。今季1軍未登板だった通算142勝左腕は「あとはいいパフォーマンスをしてチームの勝利に貢献するだけ。見ているだけじゃ全然つまらない。戦いの輪に加わりたい」と復活イヤーをにらんだ。(川手 達矢)

 【こだわりスパイク】
 ☆素足感覚(阪神・赤星)01~05年に盗塁王を獲得した韋駄天(いだてん)が重視したのは「より素足に近い感覚」。04年に使用したものは片足290グラムで、折り曲げると爪先とかかとが簡単にくっつくほど軟らかかった。

 ☆負担軽減(巨人・阿部)捕手から一塁へコンバートされた15年に「疲労を考えて」とクッション材を全面に取り入れ、衝撃吸収性を高めた。また、かかと部分の歯を2本から3本に増やし、うち2本を「く」の字形にして安定性が向上した。

 ☆ボルト仕様(マーリンズ・イチロー)15年から「ビモロスパイク」を導入した。国際特許を取得したソールの効果で、100メートル9秒58の世界記録を持つウサイン・ボルトと同じ、薬指から先に着地する走り方を再現。

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2016年12月8日のニュース