桜美林大躍進の陰に捕手・大平の成長 ドラ1佐々木千が“教材”

[ 2016年11月30日 11:00 ]

桜美林大躍進に貢献した大平
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 今年の大学野球で最も躍進を遂げたチームといえば、桜美林大だろう。準硬式から硬式へ移行して8年目。ロッテからドラフト1位指名された佐々木千隼投手(4年)を軸に今秋の首都大学リーグで初優勝を飾ると、関東地区大学選手権も田中正義投手を擁する創価大を倒して初制覇。明治神宮大会は決勝で明大に敗れたものの、初の全国大会で準優勝に輝いた。最速153キロ右腕・佐々木千が躍進の原動力となったことは言うまでもないが、大平達樹捕手(3年)の成長も忘れてはなるまい。

 大平は今季当初は控えで、正捕手に定着したのは5月から。つまり、佐々木千と本格的にバッテリーを組んでから約半年しかたっていない。速球に加え、多彩な変化球を誇る佐々木千とバッテリーを組み始めた当初のことを、大平はこう振り返る。

 「体が追いつかなかったです。目もそうなんですけど、ミットが追いつかなくて。僕はキャッチングがうまい方じゃないけど、ボール球をストライクに見せたりしないといけない。いっぱい気をつかうところがあって大変だなと思った」。無理もない。昨季まで控えだった捕手が、いきなりプロ注目投手の女房役になったのだ。佐々木千の成績はチームの浮沈に直結する。正捕手としてレベルアップを目指し、夏のオープン戦で佐々木千の球を受け続けた。

 大平は「千隼さんと組んで、配球面で勉強になることが多かった」と明かす。試合中、佐々木千は大平のサインが間違っていると思っても、あえて首を振らずに投げたこともあった。「それでヒットを打たれると“今は違うよ”って合図出してくれるので“違うんだな”と気づく。逆に、千隼さんが僕のサインに首を振って投げて打たれたときは“悪かったな”と合図を出してくれる」(大平)。失敗も含めた実戦での経験が、大平にとっては最高の教材だった。

 佐々木千が登板した今秋の公式戦11試合で全投球を受けてきた大平は、リーグ戦で初のベストナインを獲得。「自分の中で配球がずっと課題だったけど、千隼さんは試合の中で勉強させてくれたし、成長させてくれた」。明治神宮大会では2本塁打と打撃でも活躍。来年8月に台湾で行われるユニバーシアード夏季大会の日本代表候補選考合宿(11月26~28日、松山)にも参加し、侍ジャパン大学代表への道も開けてきた。

 来季の桜美林大には、1メートル80右腕・宮崎一誠(3年)や日大三出身の右腕・安田颯(2年)ら力のある投手が残る。大平は来年が大学ラストイヤー。佐々木千に「育てられた」経験を生かし、投手陣を引っ張る姿が楽しみだ。(記者コラム・原田 真奈子)

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2016年11月30日のニュース