【石井一久クロスファイア】ヤク寺島 超一流目指すなら絶対的変化球を

[ 2016年11月30日 09:15 ]

背番号18を手にポーズを決める寺島
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 ヤクルトの寺島への期待は大きい。甲子園での投球を見たが、それだけのポテンシャルは持っていると思う。

 一番いいのは真っすぐの質。球速は最速150キロということだが、アベレージは140キロちょっと。それでも空振りが取れるのは打者が球速以上に速さを感じているからで、スピンが利いた真っすぐを投げる。これは練習でなかなか養えるものではなく、天性のもの。加えて、この年齢にして打者との駆け引きが上手で、マウンドさばきも落ち着いている。

 ただ、開幕から1軍で投げられるかといえば、どうか。理由としては、変化球がまだ1軍のレベルには達していないからだ。僕が考えるいい投手の条件がある。まず145キロ以上の真っすぐがあることが前提で、空振りを取れる絶対的な変化球が1つあれば「一流の投手」で、2つあれば「超一流の投手」。寺島はまだ条件を満たしていないが、将来的にそのラインを超える可能性はある。だから、じっくり時間をかけた方がいいと思う。

 指名あいさつの時に鳥原チーフスカウトが「石井一久に匹敵する逸材」と話していた記事を目にした。同じ高校出のドラフト1位で、左投手という共通点はあるが、タイプとしては違う。僕は入団する時点で、空振りを取れる変化球があったし、150キロの真っすぐも投げていた。でも、粗削りだったので、1年目の最初は2軍で「ピッチングとは何か」ということを学ぶ必要があった。

 その意味では、寺島は対極にいると思う。僕の考えでは、早い時期から1軍で使うと、結果を求めすぎるあまり、投球が小さくなってしまう恐れがある。1軍を経験するのは、シーズン後半でもいい。最初はファームで変化球を磨くなどスキルアップに励み、打者を圧倒するような球を手に入れてほしい。それだけの能力がある投手だ。

 ちなみに僕の条件に当てはまる「超一流の投手」は、ダルビッシュとかマー君とか。僕は絶対的な変化球が1つしかなかったので、「超一流」にはなれなかった。 (スポニチ本紙評論家)

 ◆福留が生出演 石井一久氏がメインMCを務めるLINE LIVEの番組「石井一久のマウンド目線から言わせてもらっていいですか?」(毎週月曜日)に来月5日、阪神・福留が生出演する。午後8時から配信。

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