【石井一久 クロスファイア】侍ジャパンは早めの代表選出で意識変えるべき

[ 2016年11月16日 11:10 ]

 侍ジャパンは強化試合を3勝1敗で終えたが、オランダとの2試合はいずれもタイブレークでの勝利。来年3月のWBC本番に向けて、楽観できる試合内容ではなかった。

 課題として挙がったのが、4試合29失点の投手陣。WBC使用球への対応が指摘されているが、この時期は仕方ない部分もある。長いシーズン、NPBの公式球でずっとやってきたので、短期間で適応するのは難しい。

 大きな国際大会の前になると、毎回「ボールが滑る」ということが話題になるが、その論調には少し違和感を覚える。違うボールなのだから当然であって、それを問題にするなら、ボールを国際基準にすればいいだけのこと。いつまでも「滑る」と言っているようでは、この先も同じことを繰り返すだけだ。

 ボールが替わらないなら、慣れるしかない。そのためにはできるだけ早く28人の代表メンバーを決めた方がいいと思う。理想を言えば、強化試合前に28人のチームをつくり、より本番を想定した戦いをしたかった。球数制限、追加招集ルールなど、本大会のレギュレーションが発表されておらず、メジャーリーガーを招集できるかどうかの問題もある。ただ、韓国代表は今月10日に28人を発表している。一方、侍ジャパンは現時点では来年2月の合宿直前のようだ。

 今回の強化試合に選ばれた投手はオフもWBC使用球を使って準備するだろう。だが、ここからの約2カ月半、28人に選ばれて練習するのと、「30~40人の候補の一人」として練習するのでは、気持ちの入り方も違うし、練習へのアプローチも変わってくる。各国のWBCに対する本気度が年々増していく中、侍ジャパンが短期間の準備で勝てるほど、甘くはない。

 最後に、僕の希望としては、投手と野手で1人ずつメジャーリーガーを入れてほしい。例えば上原なら数字に表れない打者の特徴を知っているだろうし、青木なら投手の球筋、準決勝、決勝の会場となるドジャースタジアムのデーゲームの時の打球の飛び方、芝の転がり方も分かっているので、直接伝えられる。日本はデータ収集や分析能力はトップクラスだが、実際に選手が感じた「生きた情報」も必要だ。 (スポニチ本紙評論家)

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2016年11月16日のニュース