九里 810万円増も…来季は脱「便利屋」だ!

[ 2016年11月14日 05:30 ]

広島の九里

 広島・九里亜蓮投手(25)が13日、宮崎県日南市のチーム宿舎で契約更改交渉に臨み、810万円増の年俸2370万円(推定)でサインした。今季は先発、中継ぎで計27試合に出場したが、来季に向けては「先発ローテーションに入って投げたい」と“便利屋返上”を誓った。

 50%を超えるアップに九里本人も驚いた。更改し報道陣に対応すべく姿を現した九里の端正な顔から、自然と笑みがこぼれた。

 「思っていたより上げてもらいました。ロングリリーフを含めて中継ぎで17試合、先発で10試合と、両方でよく投げてくれたと(球団から)お言葉をもらいました」

 成績だけを取り出せば2勝2敗、防御率4・50。特筆すべき数字ではないが、その内容が濃厚だ。救援登板から中3日で先発すること2回、同じく中4日で先発したのも2回。厳しい状況下での計4試合の登板だったが、防御率3・32と奮闘した。救援で2イニング以上投げたのは8試合。チームにとって背番号12の存在は大きかった。

 貴重な「便利屋」として25年ぶりのリーグ優勝に貢献したが、来季は、その地位から脱する覚悟だ。

 「先発に対してのこだわりは強く持っているので、ローテーションに入って投げたい。それを1年間続けられるピッチャーになりたいと思っているので、そこを目指したい」

 現状で予想される来季の開幕ローテーションには、まだ空席がある。ならばつかみ取るまでだ。今キャンプでは直球の質向上をテーマに掲げている。この日はブルペンでチーム最多となる118球を投げ、約7割を直球に費やした。「球の回転数を多くすることと、球持ちを良くすることを意識しています。低めの球がベース上で垂れずに伸びるイメージ」。直球の球速は140キロ台前半が多く、球威で圧倒するタイプではない。それだけに、独自のスタイルで生きる道を探っている。

 リーグ優勝を決めた9月10日の巨人戦時は2軍落ちしていた。「胴上げに参加できずに悔しかった。その思いを忘れずに来シーズンはチームに貢献して、目の前で(チームの)胴上げを見られるように頑張りたい」。飛躍を期す4年目に向け、自分磨きの日々は続く。(柳澤 元紀)

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2016年11月14日のニュース