星野副会長 岸に最大級口説き文句「もう一度、奇跡の扉開いて」

[ 2016年11月12日 05:45 ]

岸とのFA交渉を終え、手応えを語る楽天・星野副会長

 最大級の口説き文句だった。都内のホテルで行われた岸との初交渉。楽天・星野仙一球団副会長は通算103勝を挙げている仙台出身の右腕に対し、1時間にわたって熱い言葉を並べた。

 「東北の星が2年前に消えた。もう一度、奇跡の扉を開いてほしい」

 13年日本一の原動力となった田中将大は翌14年からヤンキースに移籍。呼応するようにチームの成績も下降線をたどっている。東北全体が涙した感動を再現するには、地元出身の岸が絶対に必要だと考えている。

 星野副会長は、恋人である岸を「東北の星」と表現した。「コボスタ宮城のマウンドで跳びはねてほしいね」と本拠地で躍動する右腕の姿を思い浮かべた。期待しているのは、先発としての戦力だけではない。「震災があり、自分自身も手助けしたいという思いを(岸は)直接言っていないが、僕はそう感じた」。岸の加入こそが、東日本大震災からの復興のシンボルになると信じている。

 11年の東日本大震災で東北地方は甚大な被害を受けた。球団は13年日本一に輝いたが、翌年から3年連続でBクラス。完全復興への道半ばでこれ以上の低迷は許されないが、星野副会長は「たった一人でチームは変わる」と断言。地元が生んだスターが故郷で活躍すれば、被災者にとっても明日への活力となる。

 球団側は具体的な条件は明かさなかったが、条件面でも4年総額20億円の大型契約を提示したと見られる。背番号11も確約し、最大限の誠意を示した。交渉を終え、カメラの前に姿を現した闘将は「僕と会ってくれるということは前向きに考えてくれていると自分でも思っている」と好感触を口にした。その顔は笑みであふれていた。(徳原 麗奈)

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2016年11月12日のニュース