【WBC前首脳陣の提言】高代延博氏 短期決戦で難しいサインはご法度

[ 2016年11月10日 13:30 ]

第2回WBC準決勝米国戦の8回2死一塁、中島の二塁打で一塁走者のイチロー(右)を生還させる高代コーチ

 「選手にケガをさせてはいけない」、ということに一番気を使った。他のチームから預かっている大事な選手たち。WBCの開催時期は、日本のプロ野球が開幕へ向けて調整に入ってくる段階だ。それだけに気を使わなければいけない部分が多くあった。

 次はサインの問題。三塁コーチャーとして、どこまでサインをつくるか。それが苦労した。短期決戦なので他国のチームも、そこまでサインを見破ったりということはないだろうが。選手に伝えやすい、やさしいサインをつくったことを覚えている。

 あとは「思い込み」が怖い。例えば、守備でも左翼手が「センターが捕ると思いました」という。その一方で、中堅手は「レフトが捕ると思っていました」と言う。このような思い込みが失敗を招く。そこは、コーチとしても言い訳できない部分。「もっと徹底して言っておくべきだった」という反省はある。ただ、代表チームは、コーチ陣が少ないのでやることが多い。

 例えば、ノックを打っているときは走塁練習が見られない。一流選手の集まりなのでハッキリ言って走塁は選手に任せていた部分もあった。やはり選手と接する時間が短かった。だからこそ、コミュニケーションは絶対に必要。代表の小久保監督には準備期間があると思う。しかし、代表入りする選手は開幕前の厳しい時期だと思う。

 そういう部分では、やはり開催時期が何より難しいことだと思う。どのチームも条件は同じだろうが、いろいろな面で難題が山積しているはず。逆にいえば、それが「WBC」だということだ。

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2016年11月10日のニュース