ハム10年ぶり日本一 その瞬間マウンドに立っていたのは“小さな大投手”

[ 2016年11月7日 12:20 ]

<広・日>日本シリーズ第6戦で胴上げ投手となった谷元

 その瞬間、マウンドに立っていたのは日本ハム・谷元だった。3勝2敗で迎えた日本シリーズ第6戦の9回を締めくくり、06年以来10年ぶりの日本一を達成した。3年連続50試合以上登板で、今季は宮西とともにチームトップに並ぶ58試合に投げた鉄腕。栗山監督が全幅の信頼を置く1メートル67の小さな大投手だ。

 日本シリーズ開幕3日前。左足首に不安を抱えるマーティンがリハビリのため、帰国した。守護神不在で大舞台に挑む緊急事態だった。だが、谷元の心が揺らぐことはなかった。「シーズン終盤もマーティンが(左足首痛で)いない時があって、1カ月間を乗り切った。痛いのは痛いけど、残り4試合を勝てばいいだけ。全員でカバーしたい」。先発陣からメンドーサが一時的にリリーフに配置転換。吉井投手コーチも「9回に誰を投げさせるかは決めない。短期決戦だから、(救援陣は)一つの塊として考える」と話していた。

 谷元には期する思いもあった。帰国前日に投手陣の前であいさつをしたマーティンの言葉が胸に残った。「投げられなくて申し訳ない。米国に帰っても、インターネット(の速報など)で一生懸命みんなのことを応援している」。助っ人右腕はクライマックス・シリーズ(CS)第2戦の9回に登板するも1点差を守れず、チームは痛恨の逆転負けを喫した。9月に捻挫した右足首の状態は万全ではなかった。これ以上チームに迷惑をかけられないと、やむなく帰国の道を選んだマーティンの悔しさが痛すぎるほど心に染みた。谷元は「あいつが一番、悔しいはず。あいつの分まで優勝しないといけない」と語っていたが、その言葉を見事に実現。シリーズ4試合、4イニングを投げ1失点とレギュラーシーズン同様の働きを見せた。

 谷元は一見、寡黙で練習前などは近寄り難い雰囲気を醸し出すが、質問には立ち止まって一つ、一つ丁寧に受け答えする実直な男。日本一のビールかけでは「ピコ太郎」の仮装を披露するなど、「ボケ」の要素も兼ね備えている。シリーズ前、「興奮するのか、平常心でいられるのか、どういう感情になるのか楽しみ」と大舞台を心待ちにしていたが、マウンドからは一体どんな景色が見えていたのだろうか。

 最速150キロの直球に加え、カーブ、スライダー、フォークなど多彩な変化球を操る。イニング途中の登板もいとわず、まさに「困った時の谷元」でリーグ優勝、そして日本一を支えた。侍ジャパンに選出されていないのが不思議なくらいだ。来季は球団初の2年連続日本一を狙う。そのキーマンは大谷と言いたいところだが、谷元、宮西を筆頭としたリリーフ陣の働きが鍵を握ると言っても過言ではない。(記者コラム・柳原 直之)

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