杉内 復帰へ特注「草野球並み」軟マウンドで65球

[ 2016年11月7日 06:31 ]

投球練習後マウンドをならす杉内

 何度も土を踏みならし、巨人・杉内が「特注マウンド」に立った。宮崎秋季キャンプ2日目の6日、初めてブルペンで投球練習を実施。右股関節手術からの復帰へ、足元に「秘策」があった。

 「キャンプ中に何かつかめるものがあれば。以前の球に近づければいい」。直球にスライダー、チェンジアップを織り交ぜ65球。途中から打者役が立ち、実戦もイメージした。他の投手とは違う時間に1人で行った投球に、高橋監督が足を運んだ。2日間でチェックした投手は杉内だけ。張り詰めた空気に、左腕は「緊張したよ。後ろから殺気を感じた」と冗談交じりに振り返った。

 ブルペンの一番端のマウンドに秘密があった。通常、マウンドは粘土質の「荒木田(あらきだ)土」で硬く固められる。杉内にとっては股関節への負担が大きく、「草野球並みに軟らかい。股関節に優しい」(木村投手コーチ)マウンドを球団が5日のキャンプイン直前に発注。粘土を取り除き、グラウンドと同じ軟らかい土で急造した。

 昨年10月に手術を受け、今季登板はファームのみ。尾花投手コーチは「まだリハビリの状態。軟らかい所で投げて段階を踏み、硬いマウンドに対応できる工夫」と説明し、高橋監督も「用意できるものは用意する。なんとか復活してほしい思い」と話した。今キャンプは実戦登板せず、あと2度ブルペンに入る予定。3度の投球練習のためつくられた舞台に、通算142勝左腕の復活を願う球団の思いがこもる。

 投球後、36歳は観客から拍手を受けた。「今度は試合で投げてああいうふうになりたいよね」と前を見た。(神田 佑)

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