黒田15度舞った!感謝の男泣き「最高の引き際だと思う」

[ 2016年11月6日 05:52 ]

マツダスタジアムで行われた優勝報告会で膝を突きマウンドに別れを告げた黒田は、感極まって涙を流す

 今季限りで現役引退した広島・黒田博樹投手(41)が5日、男泣きでマウンドに別れを告げた。本拠地であった優勝報告会に、最後のユニホーム姿で参加。掉尾(とうび)を飾る引退セレモニーで15回にわたって宙を舞い、マウンドにひざまずくと、こみ上げるものを抑え切れなかった。締めの挨拶では「世界一のカープファンの前でユニホームを脱ぐことができる。最高の引き際だと思う」と感謝した。

 それは突然の行動だった。優勝報告会の掉尾を飾る引退セレモニー。おもむろにマウンドにひざまずいた黒田は、視線を落とし、口元に手を当てたまま33秒間に渡って動かなかった。本拠地を真っ赤に染めた3万810人の大観衆から「黒田コール」が湧き起こる。熱い涙が頬を伝っていた。

 セレモニー終了後のベンチ裏。その行動については「最後の最後まで、野球の神様がいると思ってプレーしてきたので、20年間のお礼」と説明したが、感極まったことへの質問には「いろいろ苦しい思いもしたので…」と答えたきり、言葉が続かない。60秒間の沈黙。そして声を絞り出した。

 「あのマウンドに立って、スタンドを見るのも最後かな…と思うと、いろいろなことを思い出した。もうマウンドに上がらなくてもいいという気持ちと、上がれない気持ち。一瞬だけど、過去の試合とか、いろんなことが頭をよぎった」

 セレモニーでは、新井とともにチャンピオンフラッグを手に取り、先頭でグラウンドを1周。感謝の思いを込め、約50個ものサインボールをスタンドに投げ入れた。そして胴上げだ。本人は固辞していたが、新井の「ヤルぞ!」という掛け声と共に、永久欠番となった背番号と同じ15回。熱いものがこみ上げた9月10日とは違う。宙を舞う中で白い歯がこぼれた。

 「リーグ優勝した日の胴上げを(記憶の中に)ずっと持っておきたかったので、胴上げは断っていた。15回も上げてくれて感謝している」

 一緒に戦ったチームメートと握手し、抱擁を交わした。直後にマウンドにひざまずいた。スタンドでは涙を流すファンの姿があった。「ありがとう」「戻って来て」と絶叫する人もいた。惜別の情と感動が、球場全体を包み込んでいた。

 「寂しい気持ちは多少ある。でも、どこかで区切りをつけないといけない。世界一のカープファンの前でユニホームを脱ぐことができる。最高の引き際だと思う」

 ファンの期待に応えようと、懸命に突っ走ってきた20年間。集大成と誓ったラストイヤーに大団円を迎え、黒田博樹のサクセスストーリーは真の意味で伝説になった。(江尾 卓也)

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