JR西の元DeNA加賀美がノーノー「勝つことが恩返し」

[ 2016年11月6日 05:30 ]

第42回社会人野球日本選手権 2回戦 ( 2016年11月5日    京セラドーム )

<JR西日本・JR東日本東北>ノーヒットノーランを達成しナインと喜ぶJR西日本・加賀美(中央)

 2回戦が行われ、JR西日本の加賀美希昇投手(28)がJR東日本東北戦で大会史上2人目となるノーヒットノーランを達成。2009年に三菱重工神戸の木林敏郎(対鷺宮製作所)が記録して以来の快挙で、チームを初の8強に導いた。鷺宮製作所は都市対抗準優勝の日立製作所を撃破、大阪ガスは投打でHonda鈴鹿を圧倒、ヤマハはNTT西日本を退けて、準々決勝進出を決めた。

 最後は138キロ外角直球だった。力ない飛球が中堅手のグラブに収まる前に、加賀美は両手を突き上げた。人生初のノーヒットノーラン。許した走者は死球と失策による2人だけ。わずか86球での偉業達成だ。

 「9回は意識したが外野手のいいプレー(7回の右翼手・亀井の好捕)もあった。こんな機会もないんで狙っていた」

 15年限りでDeNAを戦力外になり、12球団合同トライアウトを受験。そこでJR西日本関係者の目に留まった。愛妻を東京に残し、単身赴任で広島行きを決意。現在は広島支社の経理課に在籍し、平日は午前9時から3時間業務もこなす。

 プロでは150キロに迫る直球が武器だったが、この日は最速144キロ。「スピードは魅力だが、甘く入れば打たれる」。都市対抗予選ではベンチを温めることも多く、本戦でもトヨタ自動車との2回戦で敗戦処理登板しただけ。「緩急と制球力があれば試合をつくれる」とカーブ、チェンジアップを交えるスタイルにモデルチェンジした。

 元プロの意地と問われ、加賀美は「ゼロではない」と答えた。「勝つことが一番の恩返し」。チームを初の8強に導いても右腕は満足していない。

 ◆加賀美 希昇(かがみ・きしょう)1988年(昭63)9月5日生まれ、神奈川県鎌倉市出身の28歳。中学時代は捕手、桐蔭学園で投手転向。法大では2年春からベンチ入りし、リーグ戦通算16勝。10年に横浜(現DeNA)2位で入団。プロ通算24試合出場で5勝10敗、防御率4・32。1メートル87、92キロ。右投げ右打ち。

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