5球団競合ドラ1対決は千隼の勝ち!「外れ」の称号もういらない

[ 2016年11月1日 05:30 ]

関東地区大学選手権 ( 2016年10月31日    横浜 )

<創価大・桜美林大>3回1死一、二塁、宮武の右飛で三塁のカバーに走った佐々木(左)とキャッチボールをしていた田中が接触しそうになりお互いにびっくり

 5球団競合対決は「外れ1位」千隼の勝ち――。関東地区大学選手権は31日、横浜スタジアムで1回戦2試合、2回戦1試合を行い、ロッテからドラフト1位指名を受けた桜美林大(首都大学1位)の佐々木千隼投手(4年)が2回戦で創価大(東京新大学1位)に8安打1失点で完投勝利をマークした。ソフトバンクから1位指名された田中正義投手(4年)との「5球団競合」対決を制し、初の明治神宮大会(11日開幕)出場に王手をかけた。

 プロ野球ファンも注目した5球団競合対決は、佐々木千に軍配が上がった。4―0の9回に1点を返され、なお2死一、三塁とされたが、最後は145キロの直球で詰まらせて二ゴロ。完封こそ逃したが粘り強く1失点で完投し、自然とガッツポーズが出た。

 「勝ってホッとしている。自分と彼(田中)の戦いではなく、チームとして一つになって戦えた。注目される試合というのは分かっていた」

 10月20日のドラフト会議では、「外れ1位」では史上最多となる5球団が競合した。その前に最初の入札で5球団から1位指名されたのが田中だった。大学No・1投手の座を争う2人。佐々木千は「彼の真っすぐは魅力がある。まだまだ追いつけていない」。過去の対決は今年3月のオープン戦で投げ負けた一度のみで公式戦初対戦だった。

 田中は初回に暴投で先制を許すなど3失点し、4回4失点で降板。「剛」の田中が最速152キロをマークしたのに対し、「柔」の佐々木千は自己最速に5キロ届かない148キロだったが、スリークオーターから繰り出すシンカーで手玉に取った。3回2死一、二塁のピンチもシンカーを打たせて遊ゴロで脱出。「シンカーっていうボールに自信を持っている」と胸を張った。7三振を奪いながら、要所では打たせて取る技ありの投球で、わずか105球で完投した。

 高校、大学と着実にレベルアップしてきた。中学3年だった09年夏の西東京大会準決勝で都日野が日大三に6―7で敗れた激戦を見て「都立でもこういう試合ができる」と感動し、強豪・日大三を倒そうと都日野に進学。その09年に日大三でエースだったのがロッテ・関谷だ。雲の上の存在だった日大三のエースとは、来季の先発ローテーションを争う立場にいる。

 大学最後の大会で田中にも投げ勝った。「自分もトップレベルで(田中と)一緒に戦えるようになりたい」とあくまで謙虚だが、プロ1年目からの再戦にも意欲を燃やしている。

 チームは4強入りし、2日に準決勝(中央学院大と白鴎大の勝者)に勝てば初の神宮大会進出となる。都日野3年夏も準々決勝で日大三に敗れて甲子園の道を断たれた右腕は、「全国大会は出たことない。行きたいと強く思っている。気持ちを前面に出したい」と端正な顔を引き締めていた。(渡辺 剛太)

 ▽ロッテの来季先発ローテーション エース・涌井と今季14勝の石川の二枚看板に加え、残留が濃厚のスタンリッジはローテーション入りが確定。信頼を勝ち取った唐川も濃厚と見られる。佐々木千が入団すると、先発の残り2枠を7勝で頭角を現した二木、関谷、チェン、古谷、大嶺祐らと争うことになる。守護神・西野の先発再転向も検討されており、競争が激化する。

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