広島・新井、黒田に惜別メッセージ「第3戦の6回、あの姿を一生忘れない」

[ 2016年10月30日 09:20 ]

SMBC日本シリーズ2016第6戦 ( 2016年10月29日    マツダ )

<広・日>惜しくも日本一ならず…ファンにあいさつする新井(右)と黒田
Photo By スポニチ

 黒田さんには夢のような2年間をもらった。チームメートとして、そして、子供の頃からのカープファンとして「ありがとうございます」の言葉では言い尽くせない。

 今年が最後になるかもしれないと開幕前から感じていた。昨年から肩や首など不調を抱えながら戦っていた。今年はもっとつらそうだった。注射を何本も打っていた。朝早く球場に来て、治療なのか、トレーニングなのか見分けがつかないような準備をしながら登板に臨む姿を間近で見てきた。

 第3戦の6回。治療で戻ったベンチから再びマウンドに立った。右足をガクガクと震わせながら3球投げた後、「無理だな…」と言って降りていった。普通なら最初に引きあげた時点で交代だったと思う。わずかな可能性にかけて投げ続けようとした。あの投球を、あの姿を一生忘れることはない。野球人として、一人の人間として、もう二度と出てこない「不世出のエース」だと思う。常に「最後になってもいい」というポジティブな悲壮感が伝わってきて周りも自然と引き締まる。そんな投手だった。

 この2年の時間を一緒にやった選手には絶対に忘れないでほしい。道に迷ったら、黒田さんの姿勢、言葉、背中を思い出してほしい。それがきっと道しるべになるから。次の世代の選手にも伝えていってほしい。それが必ずカープの伝統になっていくから。僕を含めて残った者の使命だと思う。 (広島東洋カープ内野手)

続きを表示

2016年10月30日のニュース