“俺のために日本一”実現に感謝…ハム・武田勝が明かした舞台裏

[ 2016年10月30日 13:20 ]

SMBC日本シリーズ2016第6戦 ( 2016年10月29日    マツダ )

<広・日>引退の武田勝は胴上げされる
Photo By スポニチ

 今季限りで現役引退する日本ハム・武田勝投手(38)が、日本一を達成した後輩たちの手で宙を3度舞った。ペナントレース終盤からベンチには「俺のために優勝しろ」との直筆メッセージが貼られ、この言葉がデザインされたTシャツを着てナインは練習中から一体感を出した。日本シリーズには打撃投手としてチームに同行。その舞台裏を明かした。

 プロに入って日本一で始まって、最後も日本一で終われました。最高のプレゼントをもらったと思います。こんな野球人生はないし、こんなに幸せな時間を過ごせることはないです。

 9月23日の引退会見直後のベンチ前。スーツ姿で「俺のために優勝しろ 武田勝」と記した紙を持ちました。あれは急に宮西から「円陣で声を出してくれ」と言われ、即興で思いつきました。スーツ姿で面白いことなら“これしかない”と。ただの仕込みで、ネタですよ。それがベンチに貼られると思ってもいません。テレビ中継に抜かれるとも思っていないし、遠征先の西武プリンスドームに持っていかれるのも知りませんでした。

 普通は紙じゃなくて、ユニホームとかをベンチに飾りますよね。紙を貼られる新鮮さは感じました。引退セレモニーの最後に言った「俺のために日本一になれ」も、後付けです。ここまで反響が大きくなって自分自身もびっくり。改めて言葉の重さを感じました。

 打撃投手を志願した理由は、寂しいから。最後にチームの力になりたいという意味で、「打撃投手で力を送りたい」と思いました。打撃投手以外にも捕手の守備練習なども手伝いました。野手は走攻守の練習を短時間で仕上げます。その中で毎日試合をする大変さを、改めて気づかされました。投手は調整が中心。野手は体が痛いところがあっても我慢してやっているように見えました。投手はみんなに感謝しながらマウンドに上がるべきだと思いました。

 プロ11年間で日本一は2度目ですが、どちらも凄いスター選手がいました。特にダルビッシュ(現レンジャーズ)は年齢関係なく尊敬の念があったので、そんなに軽々しく話しかけられない人物でした。近くにいるけれど大きな存在でした。

 今、大谷に対しても周りの子たちは同じように感じていると思います。僕がダルビッシュを見ていたように、年齢とか関係なく「大谷、すげえな」と見ているはず。一目置き、一緒にプレーできる幸せを感じていると思います。大谷にはもっと成長して、もっとファンを喜ばせてほしい。「僕みたいな(球が遅かった)投手もいたよ」と理解してもらって、今後に生かしてほしいです。

 今年はファイターズが本当に強くなっていくところを目の当たりにし、自分がやっている時以上に応援したい気持ちが強くなりました。この気持ちは変わらないと確信しています。それがファイターズの選手で良かったという一番の気持ちです。今後は選手でないですが、何かの形でファイターズを盛り上げていければいいかなと思います。(北海道日本ハムファイターズ投手)

続きを表示

この記事のフォト

2016年10月30日のニュース