大谷でハム突破率100%“連勝発進” 無敵リアル二刀流8戦8勝

[ 2016年10月13日 05:30 ]

パ・リーグCSファイナルS第1戦 ( 2016年10月12日    札幌D )

<ソ・日>5回無死満塁、西川の適時打で生還した二走・大谷はガッツポーズ
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 日本シリーズの出場権を争うセ・パ両リーグのクライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージ(6試合制)が12日、開幕した。パは日本ハムの大谷翔平投手(22)が「投手・8番」で出場しソフトバンクを相手に7回1安打無失点。最速162キロの直球でねじ伏せた。打っても5回に中前打を放ち、先制劇を演出。プロ初犠打まで記録する活躍で勝利に導いた。リーグ優勝し、1勝のアドバンテージがある日本ハムは2勝とし、13日の第2戦に勝てば日本シリーズ進出に王手をかける。

 エースの使命は抑えることだけではない。チームを奮い立たせる。涼しい表情で投げていた大谷が眼光を鋭くしたのは、0―0の4回だ。先頭の柳田への2球目、160キロ直球をフルスイングでファウルされた。絶対に空振りを奪う。目をそらさず、にらみ合った。

 「あそこは三振を取りにいった。真っすぐで三振を取りにいって流れをたぐり寄せる場面だった」。続く3球目、161キロで空振り三振を奪い、マウンドで吠えた。

 8番打者としても流れを呼び込んだ。5回無死一塁。「試合を決めるポイントだと思った。1球目から打っていった」。中前打でチャンスメーク。一塁ベース上では首をひねった。「もう少しで投ゴロ。ボールの上を叩きすぎた。自分の中で、あまり良い打席ではなかった」。そう苦笑交じりに振り返ったが、自ら好機を広げた。投打にわたって引っ張る姿が打線を奮起させ、大量6得点の先制劇となったのだ。

 二刀流の強みを存分に発揮。6回無死一塁ではベンチのサインでプロ入り初の犠打を記録し「バントは得意なので」と胸を張る。マウンドでは最速162キロでねじ伏せ、7回をわずか1安打。1―0完封でリーグ優勝を決めた9月28日の西武戦(西武プリンス)以来のマウンドで、またしても1点も許さず、「場数を踏んで成長できているのかな」とうなずいた。

 投打の軸としての自覚と責任感が備わっている。レギュラーシーズンを終えた9月30日。札幌市内で選手、スタッフらが集まり、祝勝会が開催された。羽目を外してもいい日だったが、大谷は乾杯時にビールを一杯飲んだ程度だった。翌日以降の体調を考慮して2次会には参加せず、日付が変わる頃には合宿所へと戻った。日本一へ向けた戦いはもう始まっている。それを誰よりも自覚していたのが大谷だった。

 今季、投打で出場した試合は8戦8勝。レギュラーシーズンで激闘を演じたソフトバンクを返り討ちにした。「無敵の二刀流」は、引退した武田勝がナインに送ったメッセージ「俺のために優勝しろ」をプリントしたTシャツを着て、お立ち台に上がった。「(明日は)打席で何とか(先発の)増井さんを援護できるように頑張りたい」。栗山監督は明言を避けたが、大谷に「休養」の2文字はない。そして大舞台になればなるほど、力を発揮する。 (柳原 直之)

 ≪突破率100%≫日本ハムが初戦に勝ちアドバンテージの1勝を加え2勝0敗とした。日本シリーズ進出をか けたプレーオフとCSファイナルSの2勝0敗は過去18チームあって全て日本シリーズに進出。突破率は100%になる。

 ≪投打で出場は8戦8勝≫大谷(日)が「8番・投手」で出場し投げては7回1安打無失点、打っても1安打。DH制が導入された75年以降のパのプレーオフ とCSで、DHを使わず打席に立った投手は大谷が初めてになる。これで今季大谷はレギュラーシーズンと合わせ、投打で出場した試合で8戦8勝、防御率0.30、打率.391。6月12日阪神戦からはソフトバンク戦3試合を含む6試合で計45回を自責0と投打出場が投球にプラスに作用している。また、チームは継投で被安打1。プレーオフ、CSでは10年ファイナルS第2戦のソフトバンク(対ロッテ)、11年ファイナルS第2戦のヤクルト(対中日)の被安打2を下回る最少となった。

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