【斎藤隆パドレス留学記】日米組織の差勉強 自分自身の課題も増えた

[ 2016年10月12日 11:00 ]

フロント留学中に気づいたことなどを書き留めたノートやメモ帳
Photo By スポニチ

 先週、パドレスへのインターンシップを終え、帰国しました。昨年11月から約1年間。昨季で現役を引退した私にとっては毎日が勉強で、とても濃密な時間でした。常に持ち歩いていたメモ帳は4冊に、それを清書してまとめたノートは6冊になりました。今後も野球に関わっていく上で、これらは貴重な財産です。

 私は日米両方の野球を経験しましたが、それぞれに良い部分と悪い部分を感じました。その疑問に対する答えを見つけるために、まずは米国野球の「内側」を知りたいと思ったのが、今回のフロント留学の目的でした。昨年12月にはオフ最大のイベントであるウインターミーティングに参加させてもらい、今年6月のドラフトでは、どのようにして全米中から選手を選んでいくのか、その流れをリアルタイムで目にすることもできました。

 そこで感じたのは、MLBという組織の大きさと、そこに携わっている人の数。これは日本球界が簡単にまねできるようなものではないと思いました。野球の歴史は米国の方がはるかに長い。でも、ドラフト会議を導入したのは、日本も米国も同じ1965年。この時点では同じ時間軸にあったと言えます。90年代初めの収益を見ても、日米で大きな差はありませんでした。それがこの10年、20年で日本がほぼ横ばいなのに対し、MLBは昨年まで13年連続で増え、今では1兆円ビジネスに急成長しています。

 野球のレベル自体は、WBCを見ても分かるように日米の差は明らかに縮まっています。でも、組織としての差は広がっている。答えを見つけに行ったはずが、むしろ私自身の課題が増えたような気がします。

 パドレスのオフィスを離れる最後の日。ガラス製のバットの形をしたテキーラを購入し、お世話になった数人にこんなメッセージを書いて、そっと置いてきました。

 Thank you for helping me with everything this past year.It has been a great valuable story.(1年間のサポートに感謝しています。素晴らしい価値のあるストーリーを体験できました)――。(パドレス編成本部付インターン) =終わり=

続きを表示

2016年10月12日のニュース