【金本阪神超変革1年目8】序盤の失点が招いた悪循環

[ 2016年10月10日 08:20 ]

鳴尾浜の外野をランニングする藤浪
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 阪神のチーム防御率は昨季の3・47から3・38へわずかに改善。総失点は550から546とほぼ変わらなかった。しかし、70勝71敗2分けから、64勝76敗3分けの借金12と大きく負け越した。

 その原因は「点の取られ方」にあったと推測される。初回にイニング別最多の87失点を許し、失点した試合は10勝32敗1分け。2番目に多いのも序盤の3回(81失点)で、3回までの合計では211失点、151得点。昨季は同じケースで135失点、156得点と得点が上回っており、今季は特に追いかける展開を余儀なくされていた。リーグ最低打率の打線では反撃の望みも薄く、逆転勝ちは23度の巨人に次いで少ない24度。劣勢の場面で好投の先発に代打を送られることも多く、白星に結びつかなかった。

 開幕時に「4本柱」として期待された先発陣は、期待を裏切った。能見は3年連続で負け越し、藤浪も自己ワーストの11敗。岩田は先発4試合で未勝利(3敗)に終わった。メッセンジャーは貯金をつくったが、それも1つでは寂しい。規定投球回に達した4人の勝率を見ると、3回までのチーム得失点とリンク。登板中にもらった援護の得点を勝利数、失点を敗戦数と見立てて“援護率”を求めると、シーズンの勝率とほぼ一致した=表(2)。唯一、極端に低い援護率で10勝9敗と勝ち越した岩貞は、初回の失点がわずか3試合しかなかったことも無関係ではないだろう。

 今季は救援防御率3・29ながら、試合が崩壊していたイメージが強いのは勝ちパターンがなかったことに尽きる。昨季は12球団ワーストの同4・11だったが、先発→福原→呉昇桓とつなげば14勝1敗と盤石。2シーズンにわたり守護神を務めた呉昇桓が退団し、頼みの福原は不振で4月20日に抹消され、引退試合まで登板機会がなかった。代役として補強したマテオは5月下旬に5試合連続失点。ドリスも防御率4点台と安定感を欠き、ともに5月中に降格した。6月にはサターホワイトを緊急獲得。先発から再転向した藤川も、調整期間を設けないまま登板を続けた影響か精彩を欠いた。誰が“使える”のか探りながらシーズンは進み、安定していたのは4年連続50試合登板を果たした安藤くらい。新戦力の台頭はなかった。

 もう一つ、投手陣で見逃せないのが、リーグ最多の13失策。その結果の失点は自責点と防御率に反映されないが、当然、勝ちは遠のく。けん制球、犠打の処理、一塁ベースカバー…。勝てる投手陣づくりへ、克服しなければならない課題は多い。 (記録担当・石丸 泰士) =終わり=

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2016年10月10日のニュース