【若菜嘉晴の視点】“禁断の内角”あえて待った内川の読みと技術

[ 2016年10月9日 08:23 ]

パ・リーグCSファーストS第1戦 ( 2016年10月8日    ヤフオクD )

<ソ・ロ>3回2死、左越えにソロを放つ内川
Photo By スポニチ

 ソフトバンクは序盤で2点差を追いついたのが大きかった。しかも、2点とも内川が2死から叩き出したもの。特に3回の同点弾は超一流の技術と読みが詰まった一撃だった。

 初回に初球の外角直球を右翼フェンス直撃の適時二塁打としたことで、「内角一本」で待っていた。初球のボールを見送った後の2球目。少し高めに入ってきた内角へのツーシームを見逃さなかった。

 右打者の懐をえぐって引っ掛けさせるこの球は、実はソフトバンク・藤井打撃コーチを筆頭に首脳陣から「涌井を攻略するには右打者は捨てろ」との指示が出ていたと聞く。しかし、内川は確固たる読みで“禁断”の球を打って出て、左翼ホームランテラスに運んだ。

 普通の打者ならファウルか凡打になる確率が高いが、内川は左肘を抜いて、体の回転だけで芯に当てた。「抜く」というのは左肘を素早く体の左側かつ背中側に引くことで、その動きに引っ張られてグリップは自然と最短距離で左腰の前まで持ってこられる。だからスイングスピードも出るのだ。まさに内角打ちの極意だった。(スポニチ本紙評論家)

続きを表示

この記事のフォト

2016年10月9日のニュース