丸太小屋、牛、高校時代の彼女…ジャイアンツ名投手の素朴すぎる素顔

[ 2016年10月8日 09:50 ]

ワイルドカードゲームのメッツ戦で4安打完封を果たしたジャイアンツのバムガーナー(AP)
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 もう「ミスター・オクトーバー」と呼んでもいいだろう。ジャイアンツのエース左腕マディソン・バムガーナーのことだ。一発勝負のメッツとのワイルドカードゲームで、敵地のファンを黙らせる圧巻の4安打完封。10、12、14年と1年置きにワールドチャンピオンを経験している同投手は、これでポストシーズンの成績が通算15試合で8勝3敗1セーブ、防御率は驚異の1・94。目下、23イニング連続無失点中だ。この投球を見てしまうと、「偶数年の法則」は今年も健在かと思ってしまう。

 11年から6年連続で13勝以上をマーク。右打席でのパワフルな打撃も魅力で、通算14本塁打を放っている。成績だけ見れば、文句なしのスーパースター。だが、ユニホームを脱ぐと、そんなオーラが感じられないのが、バムガーナーの魅力だ。

 昨年、チームメートだったマリナーズの青木がこんなことを言っていた。「バムガーナーって、あんなに凄いのに、普段はそう見えない。朴訥な感じで、私服はいつもジーンズ。奥さんも派手な感じは一切なく、高校時代の彼女で、そのまま結婚したみたいです」。

 バムガーナーはノースカロライナ州のヒッコリーという小さな田舎町の生まれ。アウトドア一家で、幼少期は父親が作った丸太小屋の家で育った。隣町出身のアリ夫人とは、10年のバレンタインデーに結婚し、式にはブルージーンズで出席。誕生日プレゼントには、牛をあげたことがあるという。14年に専門誌「スポーツ・イラストレーテッド」の「スポーツマン・オブ・ザ・イヤー」を受賞した時には、2人のエピソードとして「キャンプ中に大きな蛇が何かを飲み込んでいるのを見つけたので、斧で切り裂き、夫人が蛇を解体すると、生きているウサギが出てきて、救出した」という日本では考えられない話が紹介されていた。

 メジャーリーガーのスーパースターの妻と言えば、女優やモデルら「まさにセレブ」と言った女性が多いが、誘惑が多い世界で、高校時代の彼女と結婚するのは、いかにも彼らしい。落ち着いた雰囲気があるが、まだ27歳。この年齢で4つ目のチャンピオンリングを手に入れたとしても、バムガーナーはバムガーナーのままなのだろう。 (記者コラム・甘利 陽一) 

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2016年10月8日のニュース