【金本阪神超変革1年目6】若手にチャンス与え“プロ初づくし”

[ 2016年10月8日 10:20 ]

9月30日、巨人戦で136安打目のヒットを放った高山をはじめ、新人選手の活躍が顕著だった
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 超変革の特色は、数字にもはっきりと表れている。若手選手を積極的に起用した結果、今シーズンに1軍デビューを果たした選手は11人もいた。昨年も、そして一昨年も5人ずつだったことからも阪神・金本監督がいかに若手選手にチェンスを与えたかがうかがえる。

 中でも新人選手の活躍が顕著だった。6選手のうち、リハビリスタートで出遅れた竹安以外の5選手が1軍戦に出場。ちなみに14年は4人、15年は3人だった。ドラフト1位の高山が球団新人記録を18年ぶりに更新するシーズン136安打を放てば、5位の青柳は虎新人右腕では59年の村山以来57年ぶりの初登板初先発勝利を飾った。

 新戦力を発掘するという意味では、原口の台頭も象徴的だ。育成契約から支配下に復帰し、チーム最多68試合で先発マスクをかぶった。遅咲き、7年目のデビューから一気にクリーンアップを任されるまで駆け抜けた。その結果、今年のチームは初出場、初勝利、初安打、初打点、初本塁打…。数々の“プロ初○○”が生まれた。

 育成面では一定の結果を示せたが、金本監督がこだわった「育てながら勝つ」という命題はかなわず、育成と勝利を両立させることはできなかった。64勝76敗3分け、勝率・457の4位。12年の5位以来4年ぶりBクラスでCS進出を逃した。開幕序盤こそ4月8日に今季最多貯金の4で単独首位に立ったが、交流戦を7勝11敗で負け越す間に借金生活に転じると、勝率5割のラインから徐々に遠のいていった。

 長期ロード明け8月26日からの7連敗に始まり、31日のV逸を経て、9月17日のCS完全消滅までは17試合(3勝14敗)の出来事。例年危惧される後半戦の息切れを今年も発症した。

 本拠地・甲子園で勝てなかったことが大きい。26勝36敗1分けの借金10。負け越しこそ13年の借金1以来3年ぶり、ここ10年でも3度目だが、2桁の借金は暗黒時代と呼ばれた時期の98年借金11(25勝36敗)以来18年ぶり。36敗は95年の38敗に次ぐワースト2位タイの数字だ。広島がマツダで貯金29したのとは対照的で、特に巨人戦の開幕から10試合連続未勝利(9敗1分け)は球団史上初の屈辱だった。

 それでも主催71試合の観客動員は、昨季72試合分を約3万人上回る291万0562人を記録した。観客動員増はこれら育成面の収穫をファンが評価した結果だろう。 

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2016年10月8日のニュース