見事な火消しで3年連続65試合登板超え!福山の鉄腕ぶりを分析

[ 2016年10月6日 11:40 ]

楽天の福山
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 いやはや、この投手のフル回転には本当に目頭が熱くなる。杜の都で躍動する福山博之(楽天)の話だ。今年も背番号の「64」以上の登板数を記録し、熱いピッチングを続けている。前球団で野手転向を打診された投手とは思えない活躍ぶりだ。

◎この10年間、パ・リーグでは前例のない3年連続65登板!

 9月23日の日本ハム戦。7回のマウンドに上がり、65試合目の登板となった福山。これで、「3年連続65試合登板」を達成し、この10年間パ・リーグでは唯一、セ・リーグを見渡しても巨人・山口鉄也が2008年から2010年に記録して以来、2人目の快挙だ。

 今年は開幕からしばらく不調の時期もあった。しかし、苦境を乗り越え、5月18日以降の50試合では防御率1.94。以下に詳細を記すが、スクランブル登板が多かった中、大いに敵の戦意をくじく活躍で、「3年連続65試合登板」を成し遂げた。

 福山はリーグ最多で、キャリアハイを更新する69試合に登板。投球回69回2/3、防御率2.71、4勝5敗19ホールドの成績を残している。

◎1人何役? 神出鬼没の活躍劇

 福山は、今や楽天のブルペン陣になくてはならない存在だ。1軍投手コーチの小山伸一郎が「6年連続45登板」に終止符を打った2014年、その役割を引き継ぐかのように台頭、初の65登板を記録した。そして今年も、ありとあらゆる場面で起用されている。

 その「69試合登板」の内容を確認してみよう。

 まずは点差。最も多いシチュエーションは2点差以内の接戦で、41試合に登板。また、3点以上リードしている展開では15試合に登板している。しかし、3点以上の負けている展開でも11試合に登板。試合がほぼ決まったといえる5点差以上つけられた展開でも12試合で使われている。

 イニング別では「32試合登板」の7回が最多。しかし、延長戦でも6試合、先発投手が早々に崩れた5回以前でも5試合に登板。6月8日のヤクルト戦では3回にマウンドへ向かう珍光景もあった。

◎サブちゃんに負けず劣らず見事な火消し役を名演!

 また、回またぎは9試合、うち2イニング以上は4試合だ。セットアッパーから敗戦処理、ロングリリーフまで神出鬼没だが、なかでも注目は「走者あり」の場面で登板したときの活躍だ。

 往年の時代劇『暴れん坊将軍』で北島三郎が町火消し「め組」の辰五郎を名演したように、サブちゃん似の福山も消火活動に目覚ましく勤しんでいる。

 「走者あり」で17試合、そのうち複数走者を背負っての登板は11試合。前の投手が塁上に残した走者は合計31人を数えるが、本塁への生還を許したのはわずかに6人。

 火消しで出ていったときの成績は31打数4安打、被打率.129。8月28日のオリックス戦では無死満塁で投入され、3人の打者を連続アウトに取る圧巻の内容で1点も許さなかった。

 楽天の8月の成績、15勝9敗はパ・リーグトップ。新外国人選手の打棒が爆発し、投打がかみ合うと勝てる感覚をつかんだ。梨田昌孝監督は近鉄時代も日本ハム時代も就任2年目でリーグ優勝。楽天での2年目となる来季、チームが2度目のチャンピオンフラッグを手中にするには、“縁の下の力持ち”福山の活躍ももちろん欠かせない。(『週刊野球太郎』編集部)

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