金本監督 来季も「育てながら勝つ」2年目へ決意

[ 2016年10月6日 06:55 ]

オーナー報告を終え、笑顔で質問に答える金本監督
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 来季こそ大輪の花を咲かせる! 阪神の金本知憲監督(48)が5日、大阪・野田の阪神電鉄本社を訪れ、坂井信也オーナー(68)にシーズン終了報告を行った。報告会では生え抜き選手中心の戦力構成でリーグ優勝を果たした広島をチーム作りの理想とした上で、今後も「育てながら勝つ」方針を貫くことを確認。若手育成以外にもFA選手や新助っ人獲得による補強、将来性重視のドラフト戦略でチーム強化を推し進め、今季4位からの巻き返しに着手する。

 オーナー報告を終えた金本監督は、4位に沈んだ1年目のタクトを振り返った。用兵面の苦労、勝てない時期の苦悩、若手抜てきによる我慢…。とはいえ暗い話ばかりではない。「まだ花は咲いていないですけど、本当に芽は出てきたかな、という思いはあります」。若手育成の成果には、確かな手応えも口にした。

 約30分間に及んだ坂井オーナーへの報告会。その席上では田中、菊池、丸、鈴木、野村ら生え抜き選手が投打の軸を担った戦力構成でセ・リーグを制覇した広島との比較論も話題に上った。

 「きょうも(話が)出たけど、ドラフトが07年度から変わったのかな。平等になって、広島は何年かかっているかという話。生え抜きだけで勝てるチームになったのは。1、2年では難しいと思う。でも、目指すところは僕はそこだと思っている。それはオーナーも目指すところはそういうところと。いい素材を獲ってきて鍛えて育てて、そこを目指してほしいとは言われている。僕もそう思う。そのために選ばれたとも思っているから」

 チーム作りの理想は広島―。自前の戦力を鍛え上げ、主力に育て上げることこそチーム強化の基本だ。ただ、その道のりは長く険しい。「広島でも10年近くかかっているから。そういうことを考えれば、やっぱり広島以上に練習とかはしないといけないと思う。鍛えることもね」。指揮官は静かに覚悟を決めた。

 そのためにも、まずは足元から始める。今季、芽を出した高山、北條、原口、岩貞、青柳ら若手有望株のさらなるレベルアップに着手する。秋季練習・キャンプでは「体作り」をテーマに掲げ、もう一度、一から鍛え直す構想を描いている。

 「足りないところというか、正直、選手が入れ替わりの時期なので戦力としては外国人を含めて補強は必要と思います」

 育成と同時に、勝利も追い求める。金本阪神と広島はそこが違う。育成に特化することはない。大方針は「育てながら勝つ」。そのためには補強も必要だ。FA戦線では糸井獲りに動く方針を固めた。さらに4番候補と抑え候補の新助っ人獲得にも積極的。主力の確立こそが、大胆な若手抜てきを可能とするからだ。

 「目先の便利屋と言いますか、そこそこの選手というよりは、将来、大きな大木になりうる可能性のある選手をドラフトしていきたい」

 勇気あるドラフト戦略も必須だ。「素材」が無ければ、料理人もお手上げだ。昨年、高山や青柳を獲得したように、目先の勝利に直結する新人ではなく、将来的に主力に育つ可能性を秘めた人材の発掘・獲得を目指す。

 球団総帥からは「(来年も)方針を変えたりブレることはないように。今年と同じように育ててほしい」と背中を押された。「(来季も)一緒。育てながら勝っていく」と指揮官。広島はあくまでチーム作りの理想。だからと言って後塵(こうじん)を拝するつもりはない。金本阪神は来季こそ、育成と勝利を両立する。(惟任 貴信)

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