挫折が人を成長させる 元“スーパー高校1年生”立大・田村に吉報は?

[ 2016年10月6日 10:30 ]

立大・田村伊知郎投手
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 いよいよあと2週間後に迫ったプロ野球ドラフト会議。プロ志望届提出も6日に締め切られ、指名対象の選手は緊張しながら当日を迎えることになるだろう。ここまでの日々を見守ってきたアマ担当記者もまた、会議が始まると冷静でいるのはなかなか難しい。

 好投手がズラリと並ぶ今年、ぜひ吉報が届いてほしい投手がいる。立大の150キロ右腕・田村伊知郎だ。話を聞いていると「挫折が人を成長させる」としみじみ思う。何があってもぶれない。30代と話しているような感覚になる。どこか達観しているようにも見える。名門・報徳学園で1年夏に甲子園出場を果たして「スーパー1年生」と騒がれ、その重圧に苦しんだ。立大進学後はオーバーワークで腰を痛め、ようやくつかんだリーグ戦初勝利は3年春だった。苦労に苦労を重ねてようやく今にたどり着いた。

 情熱の人だ。今年2月の全日本大学野球連盟主催「冬季トレーニング」に臨んだ田村の姿に感動した。このトレーニングは元巨人の鹿取義隆氏らが講師役となり、加盟各校から選手らが参加して技術向上を図るのが狙いだ。投手陣は実際にブルペンで投球を見てもらい、アドバイスを受けるなど濃い時間を過ごす。田村もユニホーム姿で投球し、助言に熱心に耳を傾けた。すべてのメニューが終わり、制服に着替えて帰路につこうとしていた時だった。「鹿取さんに聞きたいことがあるんです」と鹿取氏を捕まえて質問を始めた。それだけに収まらず、制服に革靴のままでグラブを持ち出し、ブルペンでフォームの確認を始めたのだ。純粋に野球がうまくなりたいと、少年のように目を輝かせる姿が強く印象に残った。

 気迫を前面に押し出した投球で今春リーグ戦7試合に先発。第1戦を任されるエースとなって優勝争いにも絡んだ。勝ち点を挙げれば優勝が決まる明大戦では3連投。計235球の熱投は報われず優勝は逃したが、心身のタフさを買われて侍ジャパン大学日本代表入りし、守護神として日米大学野球の優勝に貢献した。代表の横井人輝監督(東海大)は「試合になるとすごい殺気を出していて、コーチもびっくりしていた。チームのためなら何でもやります、と言ってくれて心意気のあるやつだなと思った」と感心しながら振り返った。

 「ドラフトよりも、今はチームを(秋のリーグ戦で)優勝させたい」と田村。プロ入りも優勝も、どちらも叶えてほしいと思うのはちょっと欲張りかもしれない。でも、そうやって応援したくなる男だ。(記者コラム・松井 いつき)

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