辻氏の西武監督就任会見、華やかさも必要だったのでは

[ 2016年10月3日 20:44 ]

会見を終えた辻西武新監督(左)は笑顔で居郷社長と握手

 元西武担当記者として西武球団にあえて苦言を呈す。球団は本気でチーム立て直しを考えているのだろうかと疑ってしまったのが、3日の監督就任会見だった。

 午後3時から行われた辻発彦監督(57)の会見。21年ぶりに「LIONS」のユニホームに袖を通すことになった記念の日。その場所は球場内にあるプレスルームだった。プロ野球に12人しかいない監督の就任記者会見がプレスルーム?椅子が32個、もちろん座れない記者は立ったまま話を聞いた。金屏風(びょうぶ)もなく、後ろにはスポンサーのボードがあるだけ。3年連続でBクラスに低迷し、立て直しを辻監督に托したはず。ファンに、球団は本気ですよ!と伝える意味でも場所が違うんじゃないのか?

 西武には系列の東京プリンスホテルなど、会見場にふさわしいホテルはいくつもある。金屏風を立て、報道陣にもたくさん来てもらい、3年連続Bクラスに沈んだ暗さを晴らす華やかさも必要だったのではないか。会見後は球場内の記者席は鍵がかかって使えず、プレスルームの記者席の数には限りがあって会見場の床に座ってパソコンを打ち原稿を送る記者までいた。

 たまたま、監督の契約を球団事務所でやったので、そのままプレスルームで会見という流れだったようだ。別に契約はホテルでもできる。3年前、田辺徳雄前監督が伊原春樹監督の辞任に伴いシーズン途中で代理監督となり、急きょ球場内で会見したケースはあったが、これとは話は別。

 強いチームを作るには現場はもちろんだが、フロント、スタッフが一丸とならなければ実現しない。この日会見を取材した記者の中にも「この場所はないよね」という声が聞かれた。

 1980年代、根本陸夫管理部長(当時)とともに西武黄金時代を築いた坂井保之代表(同)がよく口にしたのが「格」という言葉だった。石毛宏典、辻、秋山幸二、清原和博ら西武の選手というよりプロ野球界での立ち位置。そのため、年俸も、西武が格上ということを考慮していた。西武はそこまでやるのかというアピール。これが選手の自信につながり、他球団を圧倒する要因の一つにもなった。

 会見のニュースを選手もテレビで見るだろう。そのシーンを選手やファンがどう感じるか。来年、西武は本気だ!と感じるかどうか。

 ただ辻新監督の意味込みは熱かった。101失策と守備が乱れた点については「球際の強さは気持ちの問題。守備でいえば必ず捕る。アウトにすると食らいつく」と話した。現役時代、名二塁手としてゴールデングラブ賞を8回獲得した人。打者のデータ、味方投手のコース、球種を頭に入れ、打球が来る前の準備がすばらしかった。

 センター前やライト前に抜けそうな打球を、グラブをひと伸ばしして捕りアウトにした。巨人から移籍した鹿取義隆が「やられた(打たれた)と思った打球をアウトにしてくれる。西武は本当に守備で助かった」と話したが、当時の石毛、辻の二遊間、中堅秋山、右翼平野謙の守備は超一級品だった。きっと来シーズンは守備の破綻で敗れるシーンはぐっと減るはずだ。

 地味に始まった西武のスタート。目くじらを立てる問題ではない、という人もいるかもしれない。しかし、会見場で寂しさを感じたのは私だけだろうか。辻新監督の健闘を祈るのみだ。(特別編集委員 落合 紳哉)

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