【金本阪神超変革1年目1】聖域なし…鳥谷外しという強烈なメッセージ

[ 2016年10月3日 07:20 ]

阪神の鳥谷

 金本阪神1年目の戦いは、64勝76敗3分けの4位で4年ぶりのBクラスに沈んだ。結果だけを見れば、指揮官自身はもちろん、虎党にとっても不本意な1年となったに違いない。ただ金本知憲監督(48)はチーム内外からの批判を恐れることなく、スローガンに掲げた「超変革」を断行。スポニチでは、その成果を5回にわたって追求し、連載する。第1回のテーマは「体質改善」。

 より強い政権や組織を築き上げるためには、既存の枠組みを解体し、一から組み立て直す必要がある。そして、それを実行するには強力なリーダーの存在も必要だ。だから10年以上も優勝から遠ざかる阪神も今年、金本監督でチーム改革に着手した。その1年目。多くの「出血」を伴い、「超変革」は断行された。

 その最たる例が、「鳥谷」だろう。指揮官は就任直後から背番号1に絶大な信頼と期待を寄せ、「お前が変わらなければチームは変わらない」と「超変革」のキーマンに指名。その方針に、間違いはなかった。高い求心力を持つ鳥谷の変革が、猛虎が変わるための第一歩になる…はずだった。

 しかし「期待」は「誤算」へ姿を変える。鳥谷は開幕直後から不振にあえいだ。とはいえ福留、ゴメス、西岡とともに主力4人の1人に指名した選手。チームの勝敗を背負う存在として、我慢強く先発起用を続けた。幾度と無く本人とも膝を突き合わせ、復調へ向けた取り組みを話し合った。だが出口は見えない。これ以上、敗戦を背負わせるわけにはいかない―。指揮官がそう考えた時、その日はやって来た。

 「何十年やっても、このチームは変わらないと思う」―。0―7の惨敗を喫した7月23日の広島戦(マツダ)後に、指揮官は怒りを爆発させた。そして翌24日に断を下した。鳥谷をスタメンから外し、連続試合フルイニング出場を667試合で止めたのだ。さらに9月3日のDeNA戦(甲子園)では04年以来の三塁起用も敢行。先発、ベンチスタートもランダムとなった。ただ、その間も必ず出場機会を与え、連続試合出場記録は継続させた。鳥谷に対して最低限の配慮をしながら、同時にチーム内に対しては「聖域なし」の方針を明確に打ち出したのだ。

 体質改善―。これこそ指揮官が1年目に取り組んだ最大の課題に違いない。阪神の選手には一種の独特なムードが漂う。良く言えば「クール」であり、悪く言えば「冷めている」。屈指の人気球団である弊害かもしれない。指揮官は、そこに熱を注入し、執念と覇気を求めた。「鳥谷外し」は指揮官からチームへの強烈なメッセージだった。

 チーム内外で賛否両論が乱れ飛んだ金本阪神1年目。そんな中、球団幹部は一定の評価を口にする。「チームをいったん根底から解体した点はすごく評価できると思います。今まで監督が代わっても、なかなか出来なかったこと。これは金本監督でないと、出来なかったことでしょう。優勝するためには一度チームを解体する必要がありました。その第一段階は出来たと考えています」

 思い起こせば、02年の星野監督は4位に終わった同年オフに「血の入れ替え」を断行。翌年にリーグ優勝を勝ち取った。その星野阪神と金本阪神は「解体」という点で共通する。星野阪神もチーム体質を根底から改善することで、戦う集団に変貌を遂げた。球団幹部は言葉を続ける。「あとは解体したものを、いかに再構築できるか。そこが最も大事。壊したままでは、どうにもならない。壊したものをもう一度、積み上げることができるか。来年以降は、それが必要になると思います」

 来季は鳥谷をいかに起用するのか…。高山、北條、原口、岩貞、青柳ら若手有望株を主力に育てるための次の一手は…。チームの雰囲気を一変させる新戦力は…。主力と生え抜きの若手が融合したチームこそ、金本阪神の目指す姿。常勝軍団へと生まれ変わる第一歩は踏み出した。次の一歩で金本阪神の真価が問われる。 (惟任 貴信)

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