【内田雅也の追球】金本監督は?岡田、星野は監督1年目4位で翌年V

[ 2016年10月2日 09:35 ]

<神・巨>引退の福原はセレモニーで場内一周しファンに最後のあいさつ

セ・リーグ 阪神6―0巨人

(10月1日 甲子園)
 整列した選手、コーチ陣の中央、金本知憲がマイクを手にとった時は少し驚いた。阪神監督が甲子園での本拠地最終戦のセレモニーで自ら来場のファンにあいさつするのは久しぶりだった。

 金本は「監督としての力が足りず」と不成績の責任を背負い、「申し訳ありません」と謝罪し、応援に「心より感謝申し上げます」と礼を述べ、そして「来年は見返す年にする」と誓った。

 調べてみると、最終戦での阪神監督スピーチは2004年の岡田彰布以来12年ぶりである。その前は02年の星野仙一も話した。ともに監督1年目を4位で終えた後で、翌年には優勝を果たしている。何もそんな縁起を担いだわけではなかろう。金本はシーズン終了のけじめをつけたかったのである。

 従来は場内放送に従って頭を下げるだけだった。球団常務・広報部長の谷本修は昨年まで球場長だった。「監督が話せ、とヤジが飛んでいました。これも変わった点です」とスローガン「超変革」の一端を見ていた。

 変革は長く険しい道だが、道筋が見えてきたようだ。この日の最終戦は投手陣が踏ん張り、序盤の速攻に終盤のダメ押しと見事な勝利だった。最後を高校出新人の望月惇志で締めるとは、若手登用のフィナーレを飾るにふさわしい。

 変化が求められる過渡期のチームである。まだまだ変えられる。まだまだ育つと信じている。

 変わるものがあれば、変わらぬものもある。変わらぬ美しさである。

 それは引退の福原忍とその周辺にあった。マウンドに歩む時の大歓声には変わらぬファンの愛情があった。セレモニーを前に急いでグラウンドを整えた阪神園芸の作法も変わらない。礼儀に満ちたスピーチには人柄がにじみ出ていた。始球式に登板した彼の子どもたちがグラウンド入りの際に脱帽、一礼する姿に野球の美点を見た。同僚と抱き合い、涙する光景に心のつながりを思い、胸が熱くなった。

 天才物理学者アルベルト・アインシュタインが語っている。「生き方には2通りしかない。奇跡など全く起こらないかのように生きるか、全てが奇跡であるかのように生きるかである」

 変革を続けながら戦い終えたのは一つの奇跡かもしれない。奇跡を起こすには信じなければならない。「来年がある」とまたの奇跡を思える終幕だった。 =敬称略=
 (スポニチ本紙編集委員)
【試合結果】

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