大谷 人生初優勝投手だ!28日先発で決める「勝ちます」

[ 2016年9月28日 05:35 ]

<西・日>7回2死一塁、代打の大谷は二塁打を放ち滑り込む

パ・リーグ 日本ハム0―3西武

(9月27日 西武プリンス)
 負けた。待った。持ち越した――。優勝へのマジックナンバーを1としていた日本ハムは27日、西武戦に0―3で敗れた。試合終了から47分後、2位・ソフトバンクがロッテに勝利。4年ぶりのリーグ優勝は、大谷翔平投手(22)が先発登板する28日の同戦(西武プリンス)にお預けとなった。この日、大谷は7回に代打出場。プロで初めて登板前日に打席に立ち、二塁打を放った。二刀流エースが最後の力を振り絞り、人生初の優勝をつかみ取る。

 午後8時29分に試合が終わった西武プリンスドームの大型ビジョンに9時2分、QVCマリンで行われていたソフトバンク戦の中継が映し出された。日本ハムファンがロッテの応援歌を歌い始め球場に残って待つナインも三塁ベンチに出てきて戦況を見つめた。

 他力で優勝は決まらなかった。9時16分に決着したソフトバンクの勝利を見届けた大谷は、すぐさま立ち上がり、帰りのバスへ歩を進めた。

 「(ソフトバンクの勝利は)なんとも思わなかった。明日(28日)取るだけなので、しっかり抑えて勝ちます」

 マジック1で迎えた一戦だった。28日の予告先発として発表された大谷は、登板前日のためスタメンこそ外れたが、ベンチ入りした。栗山監督は試合直前「一応、準備させる」と言った。投手としてブルペン待機し、9回のマウンドに「胴上げ投手」として立つプラン――。ただ、初回2失点で追う展開となり、代打待機に専念した。

 そして、出番は来た。3点を追う7回2死一塁で「代打・大谷」のアナウンスが響く。快投する岸の初球、146キロ内角直球を強振し、「僕に回ってきた時には疲れていた。内側は来ると思っていた」。詰まった打球が幸いし、打球は中堅手・秋山の前へ落ちて一気に二塁を陥れた。零敗の中で、存在感を示した。

 新人だった13年に代走出場の翌日に救援登板したケースが1度あったが、登板前日の打席は初体験。大谷自身は「特に変わりはなかった」とサラリと振り返るが、異例のことだった。先発前日の投手は通常、試合前や試合中に球場を離れる。ただ、この日は勝てば優勝が決まる試合。栗山監督は「どっちにしても(球場に)残らないといけない日だった」と起用法を思案し、決断した。

 さあ、仕切り直し。大谷にとっては人生初の「優勝投手」の可能性があり、3年連続2桁の10勝目も懸かる。投げ合う相手は花巻東の先輩で、憧れの存在でもある菊池。栗山監督は「何でもいいから勝ってほしい。自分たちで勝つしかない」と気合を入れ直した。白星を挙げれば、空前絶後の同一シーズン「10勝、20本塁打、100安打」達成となる。大一番に出番が回るのも何かの導き。大谷翔平、16年レギュラーシーズンの集大成だ。(柳原 直之)

 ≪両軍引き分けでもV≫日本ハムが敗れソフトバンクが勝ったため、日本ハムの優勝マジックは1のまま。28日の西武戦に勝つかソフトバンクがロッテに敗戦、または両チームがともに引き分けで優勝が決まる。

 ▽大谷と菊池の対戦 投げ合いは過去3試合あり、大谷が2勝0敗。14年4月12日(札幌ドーム)は5回2/3を1失点で勝利、同年7月2日(西武ドーム)は7回2失点で勝敗なし(日本ハムは敗戦)、15年8月26日は8回無失点で勝利した。また菊池と打者・大谷は、大谷が新人だった13年開幕直後の3月30日に対戦し、2打席2三振だった。

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