高山 坪井に並んだ!虎新人最多135安打「僕自身にとっては…」

[ 2016年9月28日 05:30 ]

<神・ヤ>7回2死一、二塁、高山は同点となる中前適時打を放つ

セ・リーグ 阪神4―3ヤクルト

(9月27日 甲子園)
 強いゴロが二遊間を破って中前へ抜けた。この記念すべき一打に、甲子園が揺れそうなほどスタンドは盛り上がったが、打った阪神・高山はこれまでと何ら変わりなく淡々と一塁へ。いや表情には出さないだけで、心はしっかりと熱くなっていた。

 「ずっと135(安打)という数字を聞かされていたので、それを越えられたのは良かった」。 今季135安打とし、98年の坪井智哉(現DeNA打撃コーチ)に並ぶ球団新人の最多安打となった。この日も3打席連続で二ゴロに倒れ、25日の中日戦(ナゴヤドーム)でリーチをかけてから8打席目での到達だ。

 「甲子園で、大勢のファンの前で達成できた。僕自身にとっては大きなことじゃないけど、歓声をいただけて良かった」

 7回2死一、二塁。2番手・平井の1ボールからの152キロ高め直球を投手右へ。おそらく本人的には個人の数字ではなく、この時点で青柳の敗戦を消す同点打となったことがうれしかったはずだ。「それまでが低くて強い打球を意識した3打席だったから、4打席目でも速い球に対応して低い打球を打てた」

 記録との勝負にも動じない経験値がある。昨年10月10日の東京六大学リーグ・東大戦。7回に左中間三塁打を放ち、通算128安打目をマークし、明大OB・高田繁氏が持つ通算安打記録を更新した。この時も三塁上で表情を崩すことはなかったが、胸の内は違った。「ホッとしましたね。あの時は『記録まで少しだね』とどこでも言われて、嫌でも意識した。試合じゃなくて数字との勝負に気持ちが片寄っていた部分があった。その経験ができたことは技術以外でも大きい。大事なのは勝つことですからね」

 プロの世界で安打を積み重ねても勝利のゲームセットまでは一喜一憂しないのはそのためだ。

 「あと2試合。それに全力を尽くして初めて1年間をふり返られる。雰囲気も良いですし、残り2試合全部勝つ。打率ももう少し上げたい」

 ドラフト制以降、球団初となる新人4選手がスタメン出場して勝利。金本監督も「本当にいい経験をしている。若い選手のタイムリーだけで勝ったのは、まぐれもあるとは思うけど、うれしい」と目を細めた。その中で高山がひときわ輝きを放っていた。(久林 幸平)

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