宮西“川上ってる”好捕締め「ボールが止まって見えた」

[ 2016年9月27日 05:30 ]

<オ・日25>9回裏2死一、二塁、中島を投直に仕留めて雄叫びを上げる宮西

パ・リーグ 日本ハム4―3オリックス

(9月26日 京セラD)
 その瞬間のことは何も思い出せない。それほど、日本ハム・宮西は極限まで集中していた。グラブを反射的に差し出した。1点リードの9回2死一、二塁で中島にシンカーをはじき返されたが、目の前に迫ってきた打球をキャッチ。一打同点のピンチを投直に抑え、グラブを突き上げた。

 「たまたまです。でも、ボールが止まって見えた。あのとき、何を考えていたんやろ。リリーフ陣が1点リードで来てくれたので、何が何でも抑えようと思っていた」

 「打撃の神様」と呼ばれた元巨人の川上哲治氏の「ボールが止まって見えた」という言葉は有名だ。4年ぶりのリーグ制覇が目前に迫り、守護神マーティンの代役として9回を任された宮西も、その境地へと近づいた。

 宮西を支えるのは、今季限りで現役引退を発表した武田勝の存在だ。13年開幕投手を務めた左腕エースも、今季は若手台頭もあって1軍登板なし。ベンチには「俺のために優勝しろ 武田勝」と先輩が記した紙が貼られている。24日の楽天戦(札幌ドーム)の9回守備で右足首を捻挫した宮西は、この日も右足を引きずりながらの投球だったが「こんなのは蚊に刺されたようなもの」と笑い飛ばした。

 今季2セーブ目。「投げたくても投げられない人がいる。優勝争いの中で投げられる喜びを感じている」。試合後、宮西はアイシングをしながら食堂でテレビにかじりついた。ソフトバンクがサヨナラ負けした瞬間を見届けると、今度は左手を突き上げていた。

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2016年9月27日のニュース