マーリンズ 事故死フェルナンデスをナイン追悼「痛みが多すぎる」

[ 2016年9月27日 05:30 ]

マーリンズのフェルナンデス投手が事故死し、記者会見場で沈痛な表情のイチロー(中央)

 マーリンズのエース、ホセ・フェルナンデス投手(24)が25日未明(日本時間同日)にボート事故のため急死し、同僚、球団関係者は大きな衝撃を受けた。同日のブレーブス戦は中止に。本拠地マーリンズ・パークで行われた記者会見では選手全員が同席して哀悼の意を示し、イチロー外野手(42)も目を赤く染めた。将来を嘱望された右腕を失い、米球界全体が深い悲しみに包まれた。

 静まりかえった会見場。マーリンズのデービッド・サムソン球団社長は「家族と、もうすぐ生まれてくる娘のことを考えずにいられない」と声を絞り出した。フェルナンデス投手は婚約者のカーラ・メンドーサさんが出産を間近に控えていた。球団は午前6時58分に警察から同投手が亡くなった連絡を受け、10時30分からチーム全員でミーティングを行ったという。

 フェルナンデス投手はキューバで生まれ、3度の失敗ののちに15歳で米国に亡命。11年にマ軍入りし、13年に新人王を獲得した。最速100マイル(約161キロ)超の直球と高速カーブを駆使した投球と、陽気で強気なキャラクター。人気と実力を兼ね備え、昨年には米国の市民権を取得した。キューバ移民の多いマイアミを象徴する存在。サムソン球団社長は「キューバ出身の米国人の希望の星だった」と涙した。選手は黒のユニホームを着て会見に同席。イエリチ、ゴードン、そしてイチローらも目を赤く染め、早すぎる死を悼んだ。主砲のスタントンは自身のインスタグラムで「今でも悪夢が覚めるのを待っている」と語った。

 イチローにとっても特別な存在。昨年7月、右肘手術からの復帰戦で右翼から初めて投球を見守り「自信にあふれている。明らかに(他の投手と)違うでしょう。あるじゃないですか、スターの雰囲気を持っている人って」と話した。フェルナンデス投手も背番号51を「俺にとっては神」「僕らのアイドル」と崇拝。25日の試合ではイチローの3000安打到達記念の式典が予定されていた。また、プレーオフ争いから脱落していなければ、同投手が同日に先発する予定だった。

 会見後、ナインはバス2台に分乗して同投手の自宅へ。家族に弔意を伝えた。チームのまとめ役である内野手プラードは、選手代表としてコメント。涙を隠すように帽子を目深にかぶり、「あまりにも(心の)痛みが多すぎる。我々はロボットじゃない。乗り越えていかなければいけないが、今はあまりにもつらすぎる」と話した。

 ◆ホセ・フェルナンデス 1992年7月31日、キューバ生まれ。07年に家族とともに亡命し、フロリダ州のアロンソ高から11年ドラフト1巡目(全体14番目)でマーリンズ入り。13年4月にメジャーデビューし、同年12勝6敗、防御率2・19でナ・リーグ新人王を獲得した。13、16年の2度、オールスター選出。1メートル91、109キロ。右投げ右打ち。今季年俸は280万ドル(約2億8300万円)。

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