つなぎの4番サブロー 涙の引退 マリン3万113人も泣いた

[ 2016年9月26日 05:30 ]

<ロ・オ>引退セレモニーで無数の紙テープの雨の中、ライトスタンドのファンに別れを告げるサブロー

パ・リーグ ロッテ0―2オリックス

(9月25日 QVCマリン)
 ロッテのサブロー外野手(40)が25日、オリックス戦で引退試合に臨んだ。「4番・DH」で先発出場し、9回の4打席目に通算1363安打目となる右中間二塁打を放った。22年間の選手生活ではチームを2度の日本一に導いた。11年シーズン途中に巨人移籍しながらフリーエージェント(FA)権を行使して戻ってきたミスターロッテ。「つなぎの4番」の最後の勇姿に3万113人が酔いしれた。

 背番号3がマイクの前に立った。「22年もの間応援してくださって本当にありがとうございました」。深々と頭を下げた。一塁側ベンチ前でロッテの盟友たちが涙を浮かべ、超満員のスタンドからはサブローコールが鳴りやまなかった。

 「4番、ライト、サブローーー!」。QVCマリン名物の語尾を伸ばすアナウンスは7秒続いた。9回1死。現役最後の打席でサブローが平野の149キロ直球をはじき返した。「僕の打球は右方向が一番きれい」。右中間への二塁打。通算1363安打は292本目の二塁打だった。塁上で涙が止まらなかった。

 「最後は当たってくれた」。3打席目まで全て空振り三振。15年間使い続けたバットが最後に魔法をかけた。SSKの担当者は「サブローさんのバットは独特。他の選手は使いこなせない」という。グリップが極端に太く先に向かって逆三角形のイメージ。何度かモデルチェンジを試したが「最後は同じバットに戻ってしまう」。サブローだけの特別なバットだ。

 9回は伊東監督の粋な計らいでDHを解除し、最初は左翼、最後は右翼のポジションに就いた。右翼スタンドにはサブローが愛し、愛された日本一の応援団がいる。「そこが居場所だったんで最後はちょっと…」。帽子を取って頭を下げると、涙がこぼれた。

 引退セレモニーでサプライズ映像が流れた。元ロッテ監督のボビー・バレンタイン氏、巨人・高橋監督、元ヤクルトの宮本慎也氏、元日本ハムの稲葉篤紀氏、楽天・松井稼、今江、元ロッテのベニー・アグバヤニ氏、阪神の西岡…。球場ではシーズン中なのに阿部、坂本、長野ら巨人の主力選手たちが異例の観戦。誰もがサブローに感謝し、そして引退を惜しんだ。

 プロ野球選手になる夢はかなえた。「もうひとつの夢はこの千葉ロッテマリーンズを日本一の球団にすることです」。ユニホームを脱いだ後は未定だが、いつかまた戻ってくる。誰もが確信していた。この球場こそがサブローの居場所だからだ。 (君島 圭介)

 ◆サブロー(本名・大村 三郎=おおむら・さぶろう)1976年(昭51)6月1日、岡山県生まれの40歳。PL学園で94年春のセンバツに出場してベスト4。同年ドラフト1位でロッテに入団。11年6月に巨人にトレードで移籍も、同年オフにフリーエージェント(FA)権を行使して復帰。05、07年に外野手としてゴールデングラブ賞受賞。オールスター出場2度。1メートル81、90キロ。右投げ右打ち。

 ≪サブロー引退試合アラカルト≫

 ☆前売り券 完売。追加発売された200枚も3分で完売。

 ☆特別メニュー 球場内売店で「サブローバーガー」「サブロー肉うどん」や、抹茶リキュールのカクテル「サブティーニ」を販売。

 ☆PV 球場正面にパブリックビューイング(PV)画面を設置。グラウンドレベルを体感できる360度バーチャルリアリティー映像の体験イベントも同時開催。

 ☆応援ボード 来場者全員にサブローの応援ボードを配布。また各入場ゲートに等身大パネルを設置。

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