35歳の賢介が衰えないワケ 20代から“遠く”を見て…

[ 2016年9月23日 10:45 ]

日本ハム・田中賢

 何も考えずに野球をやっていた子どものころ、かぶっていた野球帽のつばの裏は、いつもグリーンだった。その事実に気づいていたが、なぜ、グリーンなのかを気にしたことはなかった。

 ところが、最近は違うらしい。日本ハム・田中賢が教えてくれた。「緑を見ると、目にいいとよく言うでしょ。でも、最近は研究でグレーの方が見やすいと言われているんですよ」。そう言って、かぶっていた帽子を取ってひっくり返してくれた。

 確かに、日本ハムの選手たちが試合で使っている帽子のつばの裏はグレーだった。今ではどこの球団もグレーだという。野球選手にとって、特に打者にとって目は命ともいえる。パワーや技術があっても、「投手が投げるボールに目がついていかなくなった」と、現役引退したベテラン選手の話はよく聞く。

 田中賢は「近くを見た後は、必ず遠くを見るようにしている」とも言った。ピントを調整するための目の筋肉をほぐして、目の負担を軽減させるためだ。プロ野球選手としてトレーニング方法や食事方法、体の仕組みを勉強するのと同じように、田中賢は20代中盤ぐらいから目のことについても関心を持ったという。

 「“将来のために何をしたらいいか”というのを、いつ気づくかですからね」。メジャーでもプレーした35歳は今季、22盗塁(9月22日現在)をマークしているように、20代の頃と変わらぬ動きを見せていることに納得できた。

 個人的な話だが、先日、視力が落ちたかと思い、眼科で診察を受けた。すると、医師から「携帯電話の画面を見たり、メールを一通送ったら、必ず違うところを見るように。目が乾かないように瞬きをするように」と指示された。「あれ、この前に聞いた話だな」。田中賢の顔を思い浮かべた。(記者コラム・横市 勇)

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