三浦 引退決断の背景…待ち望んだ若手台頭が後押しに

[ 2016年9月21日 08:30 ]

力投するDeNA・三浦

DeNA三浦引退

 移動の際は常にリーゼントヘア。外車を乗り回し、毎日欠かさず自身のブログで近況を更新する。自撮り写真で右下に自分が必ず映る構図は「番長フレーム」と呼ばれる。「好きでやってることやから。野球選手は常に子供に憧れの存在でいたい」。派手な振る舞いが誤解されるのも覚悟の上。プロ野球、横浜のことを常に考えていた。

 2年前。名古屋市内でライブハウスに連れて行ってもらった。50~60年代のアメリカンポップスがステージで生演奏され、周囲の客も踊っていた。「番長もどうですか?」と店員に声を掛けられたが「俺はエエって」と苦笑いで拒否。隅に座ると膝の上で指を叩き、笑顔でリズムを取っていた。「俺はこの雰囲気が好きやから。おまえは大丈夫か?」。本質は穏やかで気配りの人だ。

 エースと呼ばれるのを嫌がり、通算200勝も目標にしなかった。「とにかく優勝したい。優勝したらみんなが幸せになれる」。先発の中心で回る山口、井納には「とにかく走れ。走れなくなったら勝てなくなる」と口酸っぱく言った。若手も驚く量の焼き肉を平らげ、守護神・山崎康には「お菓子ばっかり食べるな」と皿に肉を次々のせた。

 2週間前。「三浦さんが1軍のマウンドで投げる姿を見たいです」と神宮であいさつすると、「横須賀(ファーム)でなんぼでも見られるで。まあ、自分の立ち位置は自分が一番分かる」。横顔はどこか寂しそうだった。待ち望んだ若手の台頭が、引退決断の後押しになった。指導者で戻ってくる日を待ち望むとともに、最後にマウンドで楽しそうに投げる姿を見たい。 (08~09、13~15年DeNA担当・平尾 類)

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2016年9月21日のニュース