西武 宮本慎也氏に新監督就任を打診 複数の候補から一本化

[ 2016年9月15日 07:45 ]

西武が来季の新監督として宮本慎也氏に就任要請していることが分かった

 西武の来季新監督として、元ヤクルトの宮本慎也氏(45)が浮上していることが14日、分かった。チームは3年連続のBクラスが濃厚で、田辺徳雄監督(50)は今季限りで退団が決定的となっている。巻き返しを図る来季へ、前ソフトバンク監督の秋山幸二氏(54)ら複数の候補の中から宮本氏に一本化し、既に打診も済ませたとみられる。受諾となれば、86~94年の森祗晶監督(79)以来となる「球団OB以外の指揮官」が誕生する。

 チームの抜本的改革へ、西武が「外部招へい」へと動いた。来季監督について球団は、かつての西武黄金期を支えたOBの秋山氏を有力候補として水面下で打診していたが、交渉は難航。そこで浮上したのが「早い段階から名前は出ていた。候補の一人に挙がっているのは事実」(球団関係者)という宮本氏だ。複数の関係者によると、この日までに宮本氏に打診を済ませており、返事待ちの状況だという。

 宮本氏は西武系列である社会人野球のプリンスホテル出身。居郷肇オーナー代行兼球団社長は同野球部の先輩にあたり、迎え入れる側のバックアップ態勢も整っている。ヤクルト一筋の宮本氏はパ・リーグでのプレー経験はない。それでも白羽の矢を立てたのは、球団の危機感の表れでもある。

 かつて、西武は堤義明オーナーによる「巨人に負けないチームづくり」の号令の下、巨人OBの広岡達朗氏、森祗晶氏を監督として招へい。その巨人を倒して日本一に輝くなど、球史に残る黄金時代を築いた。近年は西武OBが指揮を執っているが08年を最後にリーグ優勝から遠ざかり、今季で3年連続のBクラスは確実。外部の血を入れることで、チームに新たな風を吹かせたい考えだ。

 宮本氏は通算2133安打をマークした一方でゴールデングラブ賞を10度受賞など、卓越した守備力でチームを支えた。リーダーシップにも優れ、04年アテネ、08年北京五輪では日本代表の主将に就任。日本プロ野球選手会の選手会長を務めるなど人望も厚い。「監督経験はないが、選手時代の実績や五輪などでの主将の経験は大きい」と球団関係者。そのキャリアこそが、チームの立て直しに不可欠と判断した。

 今季はチーム打率がリーグ1位の一方で、96失策(14日現在)は両リーグワースト。守備の破綻から守り勝つ野球ができず、それが低迷の一因となった。後藤高志オーナーも「エラーが多い。球際に強いチーム、これを言い続けている。しっかりとそういうチームをつくっていってほしい」と強調しており、守備の達人と称された宮本氏をトップに据えることで「球際に強い」戦いが可能になると踏んでいる。

 3年連続Bクラスなら、76~81年に6年連続を記録して以来35年ぶりの屈辱。チームが過渡期を迎える中、45歳と若い宮本氏に再建を託す。

 ◆宮本 慎也(みやもと・しんや)1970年(昭45)11月5日、大阪府生まれの45歳。PL学園―同志社大―プリンスホテルを経て、94年ドラフト2位でヤクルト入団。95、97、01年と3度の日本一に貢献した。12年に通算2000安打を達成し、遊撃手と三塁手で計10度のゴールデングラブ賞を獲得。日本代表では主将として、04年アテネ五輪、06年第1回WBC、08年北京五輪に出場。05年から3年間、日本プロ野球選手会長を務めた。13年に現役引退。通算成績は2162試合で打率・282、62本塁打、578打点。右投げ右打ち。

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