準永久欠番「1」継承も!?広島・鈴木誠也が挑む偉大な記録

[ 2016年9月14日 10:40 ]

13日の中日戦で5回2死二塁から左中間に適時二塁打を放った鈴木

 広島は優勝を決めた東京ドームからナゴヤドームを経て、14日は甲子園へ。マツダスタジアム凱旋は15日だ。一足先に、歓喜に沸く広島の街を訪ねた。JR広島駅に着くなり「優勝おめでとう」の懸垂幕が迎えてくれる。行き交うバスは「祝優勝」のフロントマスクで装い、電車の行き先表示には「カープ坊や」。店という店が応援歌「それ行けカープ」をBGMにし、某有名デパートのライオン像まで赤ユニで着飾って…という具合だった。

 V一夜明けの11日、ビールかけTシャツとキャップのレプリカが発売されたマツダスタジアムのグッズショップも入場1時間待ちの大盛況。Tシャツつかみ取りの波に加わり、そうだ…長年の赤ヘル党の友人にも何か買おうか、と電話する。「本当?ありがとう。誠也の赤ユニ頼むよ」。依頼を受け、棚をのぞいた。しかし…ない。見事な売り切れだ。報告すると、ファンの心理分析が返ってきた。「誠也、背番号1に変わるかもしれないだろ。変わる前に51を買っておこうとしているんじゃない?」――。

 13日現在で打率・337、26本塁打、89打点。鈴木は今年、広島で最も飛躍した選手だ。残り試合の話題は、セ・リーグ最年少の22歳首位打者への挑戦…だけではない。3割30本100打点も射程圏内で、達成すれば広島では04年ラロッカ以来。その前が97年ロペスで、日本人選手となれば、偉大な2人の名前にたどりつく。84年に達成した衣笠祥雄。そして77、78、80、81、83年と5度クリアの山本浩二。カープの達成者は過去、この4人しかいないのだ。

 仮にタイトルと3割30本100打点の両方を手にするようなことがあれば、現状は菊池や新井が優位に見えるMVPレースもリードするだろう。その先には、オフの2つのトピックスが浮かび上がる。今季はベテラン新井が責務を負った4番を来季から任されるのか。そして、新たに「1」を背負うのか――。

 広島の「1」は通算2119安打の前田智徳が13年に引退した後、準永久欠番として空き番号になっている。球団を背負う選手が出現するまでは…という措置だ。振り返れば前田氏もいまの鈴木と同じ「51」を皮切りに、「31」を経て「1」に出世した。鈴木が実質今年1年のパフォーマンスをもって継承者と認められるのか、この先の打棒にも刮目(かつもく)したい。(記者コラム・和田 裕司)

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