大谷 個人タイトルより優勝 防御率隠れ1位もチーム優先

[ 2016年9月13日 07:10 ]

日本ハムの大谷

 優勝以外は何もいらない。パ・リーグ首位の日本ハム・大谷翔平投手(22)が12日、今後の登板予定3試合を全て無失点投球することを宣言した。13日のオリックス戦(札幌ドーム)で先発復帰2戦目を迎えるが、60~70球の球数制限が設けられる予定。規定投球回数到達まで残り25イニングで、「隠れ1位」の防御率2・06ながらタイトル奪取は厳しくなったが、二刀流4年目で自身初の「リーグ制覇」を目標とし、剛速球を投げ込んでいく。

 迷いはない。邪念は全て振り払った。0・5ゲーム差で2位のソフトバンクとの激しいマッチレースを制すために、大谷の決意は固まった。

 「明日は結構というか、相当大事な試合になる。調整登板とは思っていない。残りの試合は全て勝つ。もう、0点に抑えるつもり。そのためにもしっかりと勝ちたい」

 13日のオリックス戦(札幌ドーム)で、大谷は先発復帰2戦目のマウンドに上がる。右手中指のまめの影響で59日ぶりの先発となった7日のロッテ戦(札幌ドーム)では2回1失点。40球前後という球数制限が設けられた中で、自身が持つ日本最速163キロも計測した。13日も球数が制限される。吉井投手コーチが「次までは制限がある」と明かしたもので、全ての制限が解禁されるのは21日に敵地・ヤフオクドームで行われるソフトバンクとの直接対決からとなる。

 今回は60~70球に設定されているもようだ。これによりシーズン規定投球回の143イニング到達は難しくなった。今季の大谷は118回を投げて8勝4敗、防御率2・06をマークしている。13日の登板を含め残り3試合で25回を投げなくては規定投球回には届かない。リーグトップのロッテ・石川の防御率2・26を上回る数字を残しているが、昨季最多勝、最優秀防御率、最高勝率の「投手3冠」に輝いた右腕が無冠に終わることが濃厚だ。

 栗山監督は「(規定投球回は)俺の頭の中にはあるけど、それをやるならもっと前で投げさせていた」とチームの優勝を大前提に、復帰プランを進めてきたと説明。勝てば7月3日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)以来の9勝目で3年連続の10勝到達に前進する大谷は「(2桁勝利のことは)考えなくもないが、5回無失点ならば勝ちが付くこともある。ただ(記録やタイトルよりも)優勝できるならば何でもいい」と力を込めた。

 セ・リーグは広島が10日に25年ぶりの優勝を決めた。「テレビは見ていない。新聞は食堂にあるので見たけれど…」。大谷は目の前の試合だけに集中している。そして少し本音をこぼした。「カープは余裕を持って優勝した。僕らとは違う。僕らは接戦を制して優勝できればいい」。険しい二刀流の道は「優勝するために」と、栗山監督と二人三脚で歩んできた。ならば残り15試合、この4年間の成果を出し尽くす。 (横市 勇)

 ≪最短14日M点灯≫日本ハムの優勝マジック初点灯は最短で14日。条件は13、14日のオリックス戦に連勝し、ソフトバンクが同楽天戦に連敗か1敗1分け。日本ハムが1勝1分けか2分けでもソフトバンクが連敗なら、いずれもM11が点灯する。なお、ソフトバンクのマジック再点灯は最短で15日。

続きを表示

2016年9月13日のニュース