巨人の背番号18。復活のためのミニキャンプ

[ 2016年9月12日 09:00 ]

練習で汗を流す杉内

 前回このコラムで触れたが、昨年10月に右股関節形成手術を受けた巨人・杉内が苦悩している。直球が戻らない。正確に言えば、1軍で戦うレベルに上がってこない。「ベース付近での切れ、伸びみたいなものが足りない。このままでは1軍で勝つことはできない」。2軍戦に登板しながら試行錯誤を続けてきた。

 そんな左腕が一つの結論に達した。「下半身を鍛え直す」という。これまでは手術箇所への負担を考慮し、下半身のトレーニングは控えていた。練習の前後にエアロバイクをこぐことで刺激を入れる程度。試合で投げるまでには復調したが、勝てるようにはならなかった。2軍の首脳陣と相談し、実戦登板を控えてトレーニングに没頭する。

 野球を始めたときからそうだったように、下半身主導の投球を取り戻す。すでにランニングやダッシュ、さらには負荷をかけたスクワットも再開した。手術前も患部に激痛を抱えていたため、下半身の強化は回避していた。本格的なトレーニングは1年以上ぶりだろう。「今のところ、患部に痛みもない。これで状態に(いい)変化が出てくれればいい」。模索する中で、笑顔も戻って来た。あとは自分の選んだ道を信じて進むだけだ。

 9日にはコンディショニング会議のためにジャイアンツ球場を訪れた堤辰佳GMが、杉内の現状について言及。「鍛錬期間を設けようということ。ファームで1試合投げて(状態が)上がってきたら、(14日からの)11連戦で上がって来る可能性もゼロではない」とした。杉内自身は「もちろん今年中に1軍の試合で投げたいという思いに変わりはない」とする一方で「1軍で“投げる”ではなく“勝てる”レベルになって上がらないと失礼。そのためには2軍で結果を出さないといけない」と言葉を選んだ。

 レギュラーシーズンは残り20試合を切っている。リーグ優勝は広島に譲ったが、杉内がCSに間に合えば貴重な戦力になるだろう。ポストシーズンの秘密兵器へ。残された時間は少ないが、わずかな可能性に懸ける。(記者コラム・川手 達矢)

続きを表示

2016年9月12日のニュース