連発の誠也 やっぱり神ってた「うれしさと信じられない気持ち」

[ 2016年9月11日 05:30 ]

祝勝会でビールを浴びる鈴木

セ・リーグ 広島6―4巨人

(9月10日 東京D)
 この22歳を称える言葉は、これしかない。広島・緒方監督は優勝インタビューで声を大にした。「神ってますね、やっぱり」。4年目で大ブレークを遂げた鈴木が、V決定の試合で2発。今季を象徴するような42度目の逆転勝利を呼び込んだ。

 頂点に立ち「うれしさと、信じられない気持ちで半分半分ですね」。すぐに実感は湧かなかった。

 「いままで味わったことのない緊張感だった」という一戦でも最高の結果を残した。まずは1点を追う4回先頭の打席。マイコラスのカーブを捉え、左翼席を赤く染めるファンにチーム初安打となる25号ソロを届けた。さらに3―2の5回1死一塁。2打席連発の26号2ランを左へ運んだ。

 優勝へ突き進む分岐点は「神ってる」3連発だった。6月17~19日のオリックス3連戦(マツダ)で、2試合連続サヨナラを含む3試合連続決勝本塁打。確かに神懸かり的ではあったが、その働きは決して偶然ではなく、地道な努力が生んだ。「バットを振っておかないと不安になるんです」。13年の入団会見前夜も会場となった広島市内のホテル駐車場で父・宗人さん(51)と一心不乱に素振りをしていた逸話を持つ。入団後も練習量はほかの選手を圧倒している。

 細部へのこだわりも飛躍を後押しした。昨オフ、アシックス社のアドバイザリースタッフを務める丸に同行し、生まれて初めて足型を取った。「ヤバイです。全然疲れない」。特注スパイクで足場を固め、交流戦前半にはバットを微調整。910グラムの重さは変えず、33・5インチ(約85センチ)から34・5インチ(約87・6センチ)に長くした。いまでは「ほかのバットは触りたくなくなった」というほどマッチした相棒から、この日の2発も飛び出した。

 アーチの陰には、ナインの支えがあった。緒方監督が目指す野球である「いかにして1点を奪うか」を大一番で体現。2、3回で計25球ファウルで粘ってマイコラスに球数を投げさせた。3回には菊池の遊ゴロを坂本が大きくはじく間に、田中が一塁から長駆生還。徐々に疲弊した助っ人を、5番打者が叩いた。

 試合がなかった9日には荒川区の実家に帰り、英気を養った。本拠地ではなかったものの、鈴木にとっては地元・東京で家族が見守る前での胴上げだ。CS、そして日本シリーズへ「これからも一戦一戦思いきってやっていきたい」と誓った。 (渡辺 剛太)

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