広島M4!9・7優勝なら史上最速 90年巨人の9・8上回るか

[ 2016年9月5日 05:36 ]

<ヤ・広>ヤクルトに勝利し、タッチを交わす新井(中央)ら広島ナイン。右端は最後を締めた中崎

セ・リーグ 広島4―3ヤクルト

(9月4日 神宮)
 さあ、地元Vだ!首位・広島は4日、ヤクルトに競り勝ち、2位・巨人が敗れたためにリーグ優勝マジックは4となった。1点差の9回は「胴上げ投手」候補の守護神・中崎翔太投手(24)が締めて球団史上4人目の30セーブを達成した。6日からは本拠マツダスタジアムでの中日3連戦で、最短Vは7日。90年巨人の「9月8日」を上回る史上最速優勝(2リーグ制後)も現実味を帯びてきた。25年ぶりの歓喜はすぐそこだ。

 守護神が1球を投じるごとに、25年ぶりとなる歓喜の瞬間が刻一刻と近づいてくる。1点リードの9回2死。中崎は荒木をスライダーで空振り三振に仕留めた。自慢の顎ひげに汗が光る。敵地とは思えぬ、地鳴りのような大歓声。プロ野球史上最速の「9・7」のV決定へ――。鯉の軍団は、最高の形で地元・広島へと戻ることになった。

 「しっかり(打者3人で)ゼロで抑えられて良かった」。昨季の29セーブを上回る自己最多30セーブ目。02年・小山田、07~09年・永川、11年・サファテに続く球団4人目の快挙だ。それでも「特に何もない。それ(自己最多セーブ)も何も思わない」。チームの勝利が最優先。それが抑え投手にとって最高の喜びであるからだ。

 リーグ最多となる41度の逆転勝利を誇る「逆転の鯉」は、逃げ切っても強かった。1点差に迫られた7回1死三塁のピンチでは、2番手・今村が上田、山田をいずれも直球で連続三振。8回は60試合目の登板となったジャクソンが難なく封じた。3人が同じ試合で登板した試合は7戦全勝だ。

 中崎は守護神2年目。13年秋に右手人さし指と中指の血行障害を手術した。昨年5月から抑え役を任されるも、一時は防御率5点台に。それでも黙々と投げ続け、現在の地位にたどり着いた。「マウンドでの立ち居振る舞いを含めて、去年の経験をうまく自信にしてくれている。比べものにならないくらい急成長している」と緒方監督。これで15試合連続無失点と、安定感は揺るぎない。

 中崎自身は「TEAMマエケン」の一員として、14年オフには前田との合同自主トレに参加。スライダーを伝授されるなどした。その前田が今季からドジャースに移籍。エースが抜けたチームは、昨季ほど開幕前の下馬評は高くなかった。それが、どうだ。ふたを開ければ貯金は31の独走状態。8月24日にマジック20を初点灯させた試合を含め、9勝2敗の快進撃で、2位・巨人の急失速も手伝って、11日間でマジックは16も減った。

 6日からは本拠地での中日3連戦。2連勝し、巨人が阪神戦(甲子園)で2連敗すれば、90年の巨人より1日早い史上最速Vとなる。10日からはビジターでの4試合。胴上げ投手の大役を担う可能性が高い中崎は言った。「マツダで(緒方監督を)胴上げしたい」。25年ぶりの赤の歓喜へ、舞台は整った。

 ▽90年の巨人V 5月上旬から首位を独走し、8月3日にマジック32が点灯。9連勝、8連勝と大型連勝を重ねM2とした9月8日、ヤクルト戦の試合中に対象の広島がまず敗れる。そして2―2の延長10回、吉村が史上初の優勝決定サヨナラ本塁打を放ち、それまで最速だった64年南海の9月19日を一気に11日も更新。最終的に2位広島に22ゲーム差をつけた。20勝の斎藤を筆頭に、桑田、宮本、木田、香田の5人が2桁勝利という強力先発陣で他チームを圧倒した。

 ▽広島の胴上げ投手 75年の初優勝は金城基泰。20勝を挙げた74年のオフに交通事故に遭い、失明危機の大ケガを負いながら夏場に復帰し抑えを務めた。79年は江夏豊。近鉄との日本シリーズでは「江夏の21球」を演じた。80年池谷公二郎、84年小林誠二は優勝日に先発完投勝ち。86年は抑え転向1年目の津田恒実で、前回91年は大野豊。ダブルストッパー構想の相棒を担うはずの津田が脳腫瘍で離脱する中、26セーブを挙げた。

 ≪最短Vは7日≫広島がヤクルトに勝ち、巨人が中日に敗れた結果、優勝へのマジックナンバーは2つ減って4になった。広島の現日程での最短Vは7日で、広島が6、7日の中日戦に連勝、巨人がその間の阪神戦に連敗なら25年ぶり7度目のリーグ制覇が決まる。2リーグ制後の最速優勝決定日は、90年巨人の9月8日となっており、記録更新が現実味を帯びてきた。

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