ソフトバンクM19!千賀 育成出身歴代最多12勝で08年巨人山口超え

[ 2016年9月4日 05:30 ]

<楽・ソ>力投する千賀

パ・リーグ ソフトバンク7―1楽天

(9月3日 コボスタ宮城)
 勝利の余韻を猛烈な恥ずかしさが上回った。完投で12勝目を挙げたソフトバンク・千賀は試合後のベンチで、ヒーローインタビューを必死で断っていた。9回、無死からの連続四球をきっかけに失点し、またもプロ初完封を逃したからだ。何度も説得され、やっとマイクの前に立った。

 「完封を狙っていったんですけど、前回もこういうことがあった。またか…という感じです」

 8回までに119球。7点差もあり、交代の選択肢もあった。ただ、千賀は完封へ人一倍強い思いがあった。4月13日の西武戦(大宮)で9回2死走者なしから連打で失点。3点リードし、8回無失点で交代させられた7月13日のロッテ戦(QVCマリン)では「僕は信頼ないんですね…」と工藤監督へ愚痴っぽく尋ねたこともあった。この日は「いきたい」との志願を受け入れてもらっただけに、9回の1失点を悔やむ。それでも、無死の走者を5度背負いながらも8三振を奪って粘った快投は決して色あせなかった。

 10年育成ドラフトで4位指名された。無名の蒲郡高のエースの元に届いた調査書は1通だけだった。背番号128から始まったプロ野球人生。12勝は、育成出身選手では08年に巨人・山口が記録した11勝を更新した。「そんなにたいそうなことはない」と言った後、再び育成の星になったと問われ、開拓者は「少しでも刺激を受けてくれればと思います」と答えた。

 勝率・923はリーグ1位で、勝利数、防御率2・39は同2位に浮上。黒星はまだ1つで、貯金11は勝ち頭の和田も上回る。3連勝で2日に点灯した優勝マジックを「19」に減らした立役者に、工藤監督は「今年はホップ。来年はステップ、ジャンプとつないでもらいたい。彼の能力からすればもっといける」と末恐ろしい可能性を見ていた。 (福浦 健太郎)

 ≪08年巨人山口超え≫千賀(ソ)が1失点完投で今季12勝目。育成ドラフト入団選手のシーズン12勝は、08年山口(巨)が全て救援で11勝したのを抜き最多。敗戦はわずか1で勝率.923となり、同1位のタイトルの条件となる13勝まであと1勝。勝率9割以上で同タイトルを獲得すれば13年田中(楽)1.000以来。チームでは59年杉浦.905、99年篠原.933、05年斉藤.941に次ぎ4人目になる。

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