U18タイ代表を引っ張る明徳義塾生 甲子園に同行せずアジアでの野球振興に一役

[ 2016年9月3日 13:15 ]

U18アジア野球選手権に出場したタイ代表の良藤有泰内野手

 ハイレベルな日本の投手陣が連続無失点で快進撃を見せている「第11回BFA U―18(18歳以下)アジア野球選手権」。台湾・台中で、セミファイナルラウンドが行われている。

 日本代表だけでなく、他国にも数多くの日本人選手やスタッフが出場している。タイ代表は、リードオフマンの良藤有泰内野手(明徳義塾)と正捕手・田畑大地(土浦日大)が引っ張る。良藤は日本人の父とタイ人の母の間に生まれ、小学生までタイでプレー。留学生として明徳義塾中(高知)に進み、現在、明徳義塾の1年生だ。U―15でもタイ代表入りを経験。今年も全国高校野球選手権高知大会後にタイ代表へ合流した。今夏甲子園に出場したチームに同行する選択肢もあったが「普通の高校野球生活をしていたら経験できない。ぜひ代表に行きたい」と今大会の出場を決意。馬淵史郎監督も「ケガに気をつけて行って来い」と快く送り出してくれたという。

 タイはサッカーが盛んで中学、高校生の野球人口は約500人ほど。決して盛んとは言えないが仕事と両立しながら指揮を執る日本人の青山功監督の下、良藤や田畑のほか、インターナショナルスクールでプレーする選手やソフトボール経験者を中心に代表を編成。良藤は家族との会話はほぼ日本語だが、日常会話程度にタイ語も話すことができるため「チームメートともコミュニケーションをとって、僕らが知っている知識を教えてあげたりしている」という。

 今代表は結成してから8回ほどしか練習ができなかったこともあり、今大会は2日時点で勝ち星に恵まれていない。しかし2日の香港戦では7―10と善戦。「レベルの差はあっても、みんな伸び伸びと楽しんでプレーできている。僕自身にとっても良い経験ができている」と良藤は言う。

 日本の野球経験者が技術を伝えることは、将来的なタイの野球人口の拡大やレベルアップにつながる重要なカギだ。日本では横浜・万波や大阪桐蔭・根尾らと同世代。若い世代のアジア野球情勢からも目が離せない。(松井 いつき)

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2016年9月3日のニュース