小柄1メートル67でも…ヤクルト石川 大卒左腕初!150勝

[ 2016年8月28日 06:25 ]

<神・ヤ>プロ通算150勝目を挙げた石川は秋吉(背番号14)からウイニングボールを渡される

セ・リーグ ヤクルト5―2阪神

(8月27日 甲子園)
 節目の記録達成をベンチで迎えたその瞬間、ヤクルト・石川に笑顔はなかった。完投目前の9回2死一、二塁で交代した悔しさがあった。プロ15年目。燃えるものがあるから、「小さな大投手」として大成した。

 6安打2失点の好投で通算150勝目。「妻と2人の子供にありがとうと言いたい。1年目から使い続けてくれた監督、コーチや野手、裏方さんに感謝したい」。大卒左腕では初の快挙だ。身長1メートル67。達成者の中で長谷川良平(広島)に並んで最も小柄という事実が凄みを物語る。変化球を抜群の制球力で駆使。平均球速が135キロに満たない直球も配球の妙でウイニングショットになる。6回は高山、福留をその直球で連続三振に斬った。

 過去11度の2桁勝利。白星を重ねる秘けつは、貪欲な探求心だ。「僕みたいな投手は常に考えないと勝てない」。DeNA・久保の1秒を切る高速クイックに挑戦したことも。制球が定まらず断念したが、現状維持で満足しない。昨季13勝し、迎えた今春キャンプ。体の回転の速さを追求し、6・5歩だった歩幅を6歩に縮めて投げ込んだ。尊敬する元中日の山本昌氏に「球離れが遅い方がいい」と助言を受けて元に戻したが、創意工夫を積み重ねて今がある。

 チームは4連勝で4位浮上。2・5ゲーム差の3位・DeNAを追う勢いが出てきた。次の目標を聞かれたチーム最年長の36歳は「夢はでかく200勝になる。辞めるまで一つでも多く勝ちたい」。白髪は交じったが、まだまだ若い。小さな大エースは童顔を輝かせて誓った。 (平尾 類)

 ▼ヤクルト・高津投手コーチ 石川は大事なものを持っている投手。野球への考え方、取り組む姿勢、誰にも負けない強いハート。手本にしろといっても難しい投手だと思う。

 ▼ヤクルト・バレンティン(6回に25号左中間3ランを放つなど4打点)今日はずっと内角を狙っていた。失投を捉える。それだけだね。

 ≪大卒の左腕では初めて≫石川(ヤ)が27日の阪神21回戦で今季6勝目を挙げ、プロ野球48人目の通算150勝を達成した。初勝利は02年4月4日広島戦。チームでは金田353勝、松岡191勝に次ぎ3人目。左投手では石川がプロ野球12人目で、大卒の左腕では初めて。通算150勝以上の投手で身長1メートル67は、長谷川(広)と並び最も低い。

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