ハム キター!ついに1差 8回矢野が逆転劇口火、レアード決めた

[ 2016年8月17日 05:30 ]

<日・オ>決勝打のレアード(右)を笑顔で迎える栗山監督

パ・リーグ 日本ハム3―2オリックス

(8月16日 札幌D)
 キタ、キタ、キター!日本ハムは16日、オリックスに逆転勝ちし、3連勝を収めた。2点を追う8回2死一、二塁から代打・矢野謙次外野手(35)が右前適時打。14打席ぶりの安打で勝負強さを見せると、ブランドン・レアード内野手(28)が左前に逆転の2点打を放った。首位・ソフトバンクが西武に敗れたため、ついに1ゲーム差。最大11・5ゲーム差からの猛追で王者の3連覇を阻止し、4年ぶりのリーグ優勝を奪い返す。

 あっという間に追い込まれた。0―2の8回2死一、二塁。代打で起用された矢野はオリックス・海田が投じた低めのカットボールとフォークを2球連続で空振りした。本人いわく「びっくりしたような空振り」。バットとボールが離れ、当たる雰囲気すらなかった。

 土俵際から、驚異的な粘り腰を見せた。「代打の切り札」と呼ばれた巨人時代からの引き出しを開けた。「重心を下げる打ち方にして何とか食らいついた」。低めの変化球を見極めるため、腰を落とした。3球連続で際どいボール球に手を出さない。6球目。甘く入った外角のカットボールを捉えた。14打席ぶりの安打は反撃のノロシを上げる右前適時打となった。

 不振から抜け出した35歳の一打で、敗色濃厚から一気にひっくり返した。続くレアードが左前に逆転2点打だ。試合前、ベンチ前で栗山監督に「メニーメニー、ヒット!」と誓っていた助っ人は「監督との約束を守れてよかった」と笑った。

 矢野は古傷の右膝痛で開幕2軍スタートだった。5月に今季初昇格したが、結果の出ない日々が続いた。だが、試合前のルーティンは変えない。真夏にもかかわらずウインドブレーカーにパーカまで着込んでウオーミングアップ。汗を出して体の切れを出すためだ。さらにフリー打撃ではミートだけを心掛ける軽打を繰り返した。「誰に何を思われてもいい。俺はこの練習を続けてきた」。ぶれない男は、勝負強さをよみがえらせた。

 逆転勝ちで3連勝。貯金を今季最多の24に伸ばした。首位・ソフトバンクが西武に敗れ、最大11・5あったゲーム差をついに1まで縮めた栗山監督は「感動しました。選手を信じて手を打って、信じ切るだけだった」と喜びを抑えきれなかった。矢野はお立ち台でレアードとともに叫んだ。「ファイターズ、最高!」。逆転優勝に向け、代打の切り札が復活を遂げた。 (柳原 直之)

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