メジャーの生き字引 コローン「ダディ」ジョークで思い出すライバル物語

[ 2016年8月17日 12:50 ]

5日、ヤンキース戦に登板したメッツのコローン(AP)

 現役最年長43歳のベテランのジョークに、ニューヨークのメディアも爆笑に包まれた。8月4日にヤンキースタジアムで行われたサブウエー・シリーズ。メッツのバートロ・コローン投手は6回2/3を1失点で5年連続2桁10勝目となる通算228勝目を挙げた。

 試合前の焦点はヤンキースのアレックス・ロドリゲスが出場するか、否かに集まっていた。コローンのロドリゲスとの通算対戦成績は、打率・411、8本塁打、20打点でいずれも自己ワースト。その天敵がベンチを温めたのだ。

 「どうしたのかな、全く理解に苦しむね。彼は俺のダディ(お父さん)なのにな」

 コローンが試合後に残したこの「ダディ」という言葉。実は同じドミニカ共和国出身で2歳上のペドロ・マルティネスが12年前にヤンキースタジアムで発した言葉だった。

 04年9月24日のヤンキース―レッドソックス戦。敗戦投手となり、このシーズンは宿敵ヤ軍に1勝2敗、防御率5・47だったマルティネスは、涙声で「もうかなわない。ヤンキースは俺のダディみたいなものだから」と語った。ここでいうダディは、一生頭の上がらない父親のように偉大な存在、という意味だ。

 するとヤンキースファンは因縁の対決となったア・リーグ優勝決定シリーズでは、マルティネスがマウンドに上がると「Who’s your daddy?(お前の父親は誰だっけ)」の大合唱。同フレーズと涙顔のマルティネスが描かれたTシャツまで販売された。

 さすがに悪ふざけが過ぎたか。ヤ軍は3連勝で王手しながら4連敗し、このシリーズに敗れた。レ軍の救世主となったのは同じドミニカ共和国出身のデービッド・オルティス。「ビッグ・パピ(大きなお父さん)」の愛称で知られたスラッガーだ。今度はボストンでの試合でヤ軍が劣勢になると、レッドソックスファンは「Who’s your papi?」とやり返し、オルティスのバットが猛威を振るい続けた。

 そんな12年前のライバル物語を思い出させるコローンの不意を突いた一言だった。結局、ロドリゲスはその数日後に現役引退を発表。他球団でのプレー続行の噂が米メディアでは絶えないが、15日には「今季中に他球団でプレーすることはない」と声明を改めて発表した。オルティスも開幕前に今季限りの現役引退を表明している。

 97年にメジャーデビューしたコローンは衰え知らずで、今季はメジャー初本塁打まで放ってしまった。イチローより1学年上の生き字引。プレーで、そして言葉で、球界をどこまでも盛り上げていってほしい。(記者コラム・後藤 茂樹)

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