【夏の1ページ】イップスに悩み裏方へ 支えることの大切さを学んだ

[ 2016年8月16日 09:30 ]

<広島新庄・富山第一>ベンチから選手を温かく見守る富山第一・中野記録員

第98回全国高校野球選手権第9日・2回戦 富山第一1―7広島新庄

(8月15日 甲子園)
 スコアブックを手に、富山第一の記録員・中野は精いっぱい、ベンチで声を張り上げた。支えたナインが躍動している姿がうれしかった。敗れても、涙はない。

 「つらいこともたくさんあったけど、悔いはありません」。中学時代は捕手。高校では強肩を生かし、外野手に転向した。しかし、2年春ごろにまともに送球できなくなった。いわゆる「イップス」だ。悩んだ末、練習の補助などを務める学生コーチに立候補した。

 全体の統括役。黒田学監督には怒られてばかりだった。家族には選手を辞めたことを3カ月も黙っていた。応援してくれていたからだ。意を決し、夕食の席で明かすと、両親は「応援するよ」と言ってくれた。「何度も辞めたいと思った。でもみんなを最後まで支えなきゃと思っていたし、家族の言葉で気が楽になった」。富山大会ではノッカーや記録員を務め、甲子園に出場できた。

 人を支えることで、支えられることの大切さに気づいた。濃く長い3年間。卒業後も「裏方」を続けるつもりだ。スポーツトレーナーになるための勉強をする。「これからも、誰かを支えていきたい」。すすり泣くナインを優しい目で見つめていた。 (松井 いつき)

 ◆中野 汰一(なかの・たいち)1998年(平10)6月11日、富山県生まれの18歳。小4から野球を始める。大沢野中では富山ボーイズに所属。捕手としてプレーし、富山第一に進学。ベンチ入りなし。家族は両親と弟2人。1メートル75、68キロ。右投げ右打ち。

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