花咲徳栄・高橋昂 連続完投 次戦は作新・今井とプロ注目対決

[ 2016年8月16日 05:30 ]

<樟南・花咲徳栄>11安打を浴びながらも2戦連続で完投勝利の花咲徳栄・高橋昴

第98回全国高校野球選手権第9日・2回戦 花咲徳栄6―3樟南

(8月15日 甲子園)
 サウスポーデーだ。2回戦の残り3試合が行われ、16強がでそろった。花咲徳栄(埼玉)は、今秋ドラフト1位候補の152キロ左腕・高橋昂也投手(3年)が樟南(鹿児島)を相手に2試合連続完投。2試合連続2桁の11安打を浴びながらも3失点に抑えた。同じくプロ注目の左腕、広島新庄・堀瑞輝投手(3年)も1失点で2試合連続完投。日南学園(宮崎)の左腕・森山弦暉(げんき)投手(3年)も好救援で逆転勝ちを呼び込んだ。

 満足はしていない。試合後、高橋昂は表情を崩すことなく整列した。

 「逆球が多くて制球がばらついた。物足りないな、という部分がある」

 11安打を浴び、納得できるわけがない。それでも3失点完投だ。大曲工(秋田)との1回戦でも10安打で1失点完投しており、本調子ではない中で勝つ投球をしている。

 この日は樟南打線の裏をかいた。4回2死一塁から浜屋に先制の適時二塁打を浴びた。痛打されたのはスライダーだった。4回までは直球55%、スライダー35%の割合。5回以降はガラリと変えた。直球71%、スライダー20%。直球を主体に力でねじ伏せた。6回に4得点で逆転し、その裏は「点を取った後は抑えないといけない」とギアを上げた。2死一塁から先制打を浴びた浜屋をこの日最速の146キロ直球で空振り三振。普段は寡黙な男が雄叫びを上げ、感情をむき出しにした。

 この日は終戦記念日。試合開始直前には三塁ベンチ前に整列し、黙とうをささげた。ナインは13日に大阪空襲を語り継ぐ平和ミュージアム「ピースおおさか」(大阪市)を訪問。「野球ができることは当たり前じゃない」。感謝の思いをかみしめた17歳は「気持ちで負けない」と149球を投げ抜き、8三振を奪った。

 前日は自身とともに「ビッグ3」と呼ばれる横浜・藤平、履正社・寺島の投げ合いを宿舎でテレビ観戦した。「注目の2人が投げ合っていて、凄くレベルの高い試合だと思った」。刺激を力に変えた。岩井隆監督は「要所を抑えてくれた。三振を狙って取っているし、どんどん良くなっていく」と期待を込めた。

 3回戦は同じくプロ注目の151キロ右腕・今井を擁する作新学院が相手だ。2試合計297球を投げ抜いたエースは「格上の相手なので、捨て身でしっかりと向かっていくだけです」と闘志を燃やした。 (青木 貴紀)

 ▼ロッテ・林信平球団本部長 打たれているけど、投球を見たら良い投手。1位候補は間違いない。

 ▼ソフトバンク・山本省吾スカウト 最新の状態を確認した。特段調子が悪いということはないと思う。

 ≪2年ぶり≫花咲徳栄・高橋昂が大曲工戦の10安打に続き、2桁の11安打を浴びながらも勝利。夏の甲子園で2試合続けて、2桁被安打で勝利したのは、14年準決勝、決勝の大阪桐蔭・福島以来2年ぶり。

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