山梨学院　２年栗尾、８回に無念５失点「自分が踏ん張れば…」

[ 2016年8月15日 05:30 ]

第９８回全国高校野球選手権大会２回戦山梨学院２―７いなべ総合学園

（8月14日甲子園）
　５年ぶり６度目出場の山梨学院は、２回戦でいなべ総合学園（三重）に２―７で敗れた。０―１の５回に主将・滝沢虎太朗中堅手（３年）の２点二塁打で一時逆転したが、２番手の右腕・栗尾勇摩投手（２年）が３回５安打５失点と崩れた。自慢の強打は不発に終わったが、先発して好投した左腕・吉松塁投手ら２年生らは苦い経験を糧に、再び聖地に戻ってくることを誓った。

　５点を追う９回。ベンチからグラウンドを見つめる栗尾は、号泣していた。直前の８回、５点を失った背番号１の２年生。ベンチでチームメートが「大丈夫、おまえのせいじゃない」と肩を叩く。栗尾はその言葉を聞いてまた涙をこぼした。

　「自分が踏ん張れば、９回の攻撃で絶対に点を取ってくれるチーム。その前に自分が踏ん張り切れず、３年生に申し訳ないという気持ちです。もっと一緒に野球がしたかった…」。

　２―２の６回、先発・吉松の後を継いでマウンドに上がった。１回戦・長崎商戦と同様の必勝リレー。６、７回はともに３者凡退に抑えたが、８回に落とし穴が待っていた。１死三塁から４番・藤井に右越え二塁打を浴びて勝ち越しを許すと、打者一巡の猛攻を浴びて５失点。「ボールは悪くなかったと思うが、一番大事な場面で一番弱いところが出た」。エースは自らの未熟さを責めた。

　同じ２年生の左腕・吉松は、先発して伸びのある直球を軸に５回３安打２失点（自責１）と粘投した。「相手打者も直球に振り遅れたり、ファウルになる場面が多かった。今日は試合をつくれたので自己採点は７０点」。一方で、先頭から２者連続四球を与え、２死二、三塁から先制点を許した２回については「あの失点が一番痛かった。四球からの失点は絶対やっちゃいけないと思っていたのですが」と悔やんだ。

　清峰（長崎）を率いて０９年センバツを制した吉田洸二監督は、昨冬から丸太を両手に抱えて走る清峰時代の強化メニュー「丸太ダッシュ」を導入して打力アップを図った。その成果は今夏甲子園出場という形で結実。山梨大会のチーム打率・４９０は４９代表中トップの数字だった。一方で絶対的エースは不在だったが、栗尾、吉松、宮内の２年生を軸に継投で勝ち上がった。強打ばかりが注目される中、投手陣も陰でチームを支え続けたが最後に力尽きた。

　メンバー中、栗尾、吉松ら２年生７人が新チームに残る。「甲子園の大舞台で緊張も動揺もしなかった。この経験を生かして引っ張っていきたい」と吉松。５回に２点二塁打を放った滝沢主将は「（甲子園で）２勝、３勝としてほしい」と後輩に夢の続きを託した。（原田　真奈子）

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